2020 Fiscal Year Annual Research Report
New Trends in Islamic Economics: Juristic Innovations of the Waqf System and the Creation of Alternative Welfare Institutions
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18K18251
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
KHASHAN AMMAR 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 准教授 (70814888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ワクフ / イスラーム法学 / イスラーム福祉制度 / 東南アジアの経済 / ザカート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イスラーム経済の新潮流としてのワクフ(寄進財産)の現代的発展について、その法学革新がどのようにおこなわれているかを実証的に論じ、それによって代替的福祉制度が創出されつつあることを研究・考察するものである。令和2年度は、主として次の研究活動を行った。 1.現代イスラーム法学の革新におけるワクフを用いた代替的福祉制度の位置づけをおこなうために、引き続き伝統的な文献の調査・分析をおこない、イスラーム福祉制度のザカート(喜捨)との比較によって大きな成果を得た。特にワクフに関係するクルアーンとスンナの分析結果に基づいて、ワクフをめぐるイジュティハード(法的解釈行為)の役割を解明した。さらに、現代の法源論や専門家の議論に基づき、研究視座としてヌズム論をワクフ研究の分野に導入した。 2.事例研究では昨年度に続き、東南アジア、南アジア、西アジアについてイスラーム法学の革新と現代の実践例を比較検討した。トルコにおけるイスラーム福祉制度の事例との比較で、有益な知見を得た。 3.新型コロナウイルス感染拡大防止の影響でフィールドワークの実行が実施できなかったものの、代替策として国際的なオンライン研究会、オンライン面談による意見交換などを実施し、海外のワクフ専門家や実務者と有意義な情報交流を実行することができた。収集した資料の分析、データ解析、事例の比較研究によって、現代東南アジアにおけるワクフを用いた代替的福祉制度について、大きな成果を得ることができた。成果の刊行についての準備も進めている。 4.インドネシア、マレーシア、パキスタンなどと学術的な交流が非常に強化されて、地域研究の発展に寄与する研究ができたと自己評価をおこなっている。 5.本課題によって行われた各研究事例の分析や理論的考察の成果を学会や研究会で発表し、国際学術誌への論文および研究報告の投稿の手続きも進んでいる。
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