2019 Fiscal Year Research-status Report
インド北東部多民族社会の日常が有する言説化したグローバル問題に対するレジリエンス
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18K18254
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インド / アッサム州 / ブータン / 生業変化 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる平成31年度(令和元年度)は、インド北東部のアッサム州において多民族社会の日常に関する事例を収集した。具体的には、8月と3月にインドのアッサム州を訪問した。 2019年8月25日に、アッサム州グワハティ市郊外のムクタプル村において、山根悠介氏(常葉大学・気象学)、現地カウンターパートのニッタナンダ・デカ氏(ゴウハティ大学・地理学)とともに、ワークショップ「Environmental Changes and Rural Livelihoods」を開催した。現地研究者と住民あわせて約50名の参加を得て、気候変動にともなう生業の変化や、村外の経済が村内の農業活動に与える影響などについて、研究者と住民の間で意見交換の場が設けられた。研究者が外からの観察・分析によって明らかにした、気候の変化、農業生態系の変化、村落社会の変化などについて、村の住民も同様の変化を認識していることが分かった。村落内部の変化にともない、外部からの自然・社会経済的なインパクトに対するレジリエンスが弱まりつつあることが示唆された。本ワークショップの記録をまとめた冊子を、2020年3月31日に発行した。2020年3月には、現地でデカ氏と打ち合わせを行い、ワークショップの結果を受けて、村内のレジリエンスを回復するための今後の方策を議論した。 アッサム州では、前年度に続き、ブータン国境付近の多民族居住地域の生業活動についても現地調査を行った。グワハティ市からブータン領内のサムドゥプ・ジョンカルまで面的に観察することができた。ヒマラヤ山麓部に相当する本地域は、イギリス植民地期以前より、山地民と平地民の交流が行われていた場所である。アッサム州内では、現在も井堰灌漑などを介して、異民族間の協働が実現しているが、その協力関係がブータン国内まで視野を広げて歴史的に追跡できることが分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アッサム州の調査村において、村在住のアシスタントの協力を得て、ワークショップを開催することができた。多数の村人の参加を得て、気候変動にともなう生業の変化や村外の経済が農業へ与える影響などに関して、村人が日常的に考えていることを聞き出すことができた。ワークショップの記録を冊子にまとめて、英文で出版することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査村で実施したワークショップの記録を詳細に分析するとともに、村人の日常の中で変化している要素、変化していない要素についてその特徴をまとめる予定である。さらに、アッサム州内で地域比較をすることで、レジリエンスが失われる条件/維持される条件を、生態環境、社会環境の両側面から考察する予定である。
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[Book] 現代地政学事典2020
Author(s)
現代地政学事典編集委員会
Total Pages
888
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30463-1
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