2019 Fiscal Year Research-status Report
東アフリカ農村地域における経済格差に注目した生存基盤の再考に関する研究
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18K18255
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
泉 直亮 目白大学, 社会学部, 専任講師 (60749802)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東アフリカ / 農村地域 / 経済格差 / 生存基盤 / 牧畜民 / 多民族 / 共存 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アフリカの農村では伝統的に、平等主義的な規範にもとづいて格差を是正し、経済的成長よりも生存維持を重視する社会が形成されてきた。しかし、多くのアフリカ諸国の農村地域は近年、急激に変容しており経済格差の拡大が懸念されている。それにも関わらず東アフリカ農村を対象とした研究は、依然として地域住民を一様な「小農」と見なすか、あるいは小農のみを研究対象としているという問題がある。本研究者は、東アフリカのタンザニア連合共和国におけるこれまでの調査から、近年になって企業家的な大規模生産をおこなう「富農」の出現をあきらかにしている。本研究では、自身の研究を発展させ、経済的に裕福な富農に注目して東アフリカの農村社会をとらえなおし、富農・中農・小農という経済格差の視点を組み込んで農村地域の生存基盤を再考することを目的とする。 そのために、2019年度は当初の計画にしたがって、前年度に実施したタンザニア連合共和国における現地調査で収集した資料の整理・分析を進めてきた。具体的には、農村地域の生存基盤を支える要素を精査しつつ、その変容について検討してきた。多くの地域住民はトウモロコシやイネの農耕、ウシやヤギの牧畜を基盤として、食料自給の面では生存基盤を確保していた。しかし、現金経済の普及により格差が拡大していることも確認されており、住民間での土地の売買も進んでいる。その結果、一部の農民が現金稼得に必要な農地を失っており、富裕層に雇われる労働者になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査、研究計画の微修正、タンザニアでの現地調査によって得た資料の分析といった、2019年度に計画していたことを実施してきた。そのことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま当初の計画にしたがって、調査データの分析を進め、学会での発表や投稿論文のかたちで研究成果を公表、および追加の現地調査を予定している。
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Causes of Carryover |
今年度は、機材や文献などの購入費用が予定よりも少額であったために次年度使用額が生じた。翌年度に現地調査および研究備品の購入等で使用する計画である。
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