2020 Fiscal Year Research-status Report
南海産品の管理・生産・販売をめぐる実証的研究―タイとミャンマーの漁民を事例として
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18K18258
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
鈴木 佑記 国士舘大学, 政経学部, 講師 (60732782)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 南海産品 / タイ / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は南海産品と呼ばれる、中国と世界の華人市場を最終目的地とする海産物に焦点をあて、それを採捕して生活するタイとミャンマーに暮らす漁民を取り上げる。特に、両国のアンダマン海域に生活圏を築くモーケンと呼ばれる少数民族に着目する。彼らが国家と国際機関による管理のもと、地先漁民(タイ人・ミャンマー人漁民)との競合関係のなかで、どのように南海産品を生産(採捕・加工・保存)し、販売しているのかを明らかにすることを目的としている。また、流通先における南海産品の販売状況を把握することも目指している。
2020年度は、新型コロナ感染症の地球規模での拡大により、今年度に予定していたタイとミャンマーでのフィールドワークをすべて断念した。他方、文献・資料収集については、タイ語記事を中心としたウェブ上の閲覧と、主に南海産品と漁民に関する書籍・論文の渉猟を行った。また今年度は、オンライン上における研究活動がメインとなった。Zoom等を用いた研究者との交流や他国機関主催の研究会への参加など、インターネット上における情報収集を積極的に行った。そのような活動のなかで、タイ農業・協同組合省の漁業局が、国家経済を牽引する水生生物の一つとしてナマコを捉えるようになってきていること、そしてプラチュアップキーリーカン県にある沿岸生物養殖・開発センターにおいて特定種のナマコ養殖が推進されている事実について把捉できたことが今後の研究につながる大きな収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事前に計画していた海外でのフィールドワークが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により実施できなかったため、予定よりも進捗状況は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に重点的に実施する予定であったタイにおける調査を行う。特に、チュラーロンコーン大学社会調査研究所所属の文化人類学者とラノーン・コミュニティ・カレッジ所属の社会学者との研究上の協力関係を深めながら、モーケンによる南海産品生産の実態について探ることを課題とする。また可能な限り、南海産品市場におけるフィールドワークを実施し、包括的な南海産品の管理・生産・販売の状況を把握することを目指す。
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Causes of Carryover |
計画していた海外でのフィールドワークが実施できなかったため、次年度使用額が生じた。使用計画は、調査のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)