2019 Fiscal Year Research-status Report
Sanction on Businesses in Indonesia: Empirical Study on Effects of Financial Supervision on Securities Market
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18K18265
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
小西 鉄 大阪経済法科大学, 経済学部, 准教授 (60770279)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インドネシア / 金融監督の実効性 / 企業ガバナンス / 政治経済 / 国営企業 / 事例研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、インドネシアにおける金融監督の実効性に関するこれまでの研究成果を発表・報告するとともに、2つの事例に踏み込み、調査を実施(または新規に着手)した。 前半で、インドネシアにおける金融監督の実効性に関するこれまでの研究成果について、国際学会(International Conference for The Challenges of Disruption Era in Economic Development and Public Policy)、および国際研究会(INDEF School of Political Economy)での報告を行い、インドネシアや米国などの研究者との交流を広げ、知見を深めた。 後半では、3つの成果がある。①まず、これまでの民間企業に対する金融監督の実効性に関する英語論文を投稿し、掲載された。②次に、国有ガス会社のガバナンス事件を事例として、現地で調査を実施した。具体的には、事件に対する金融監督当局の対応の弱さ、それを補おうとした社会団体の動向が明らかになった。その成果を和文論文にまとめ、2020年5月現在において査読プロセスにある。③さらに、国有生命保険会社の赤字および投資の不透明性事件についても本研究の事例として、調査に着手した。インドネシアにおける金融ガバナンスについて文献レビューし、新聞雑誌記事を収集して事実を整理した。不透明な投資をめぐるネットワークの存在が、高リスクの投資をもたらし、そこに金融当局の法的位置づけのあいまいさや国有企業省に対する金融当局の弱さが加わり、本事件に発展したことが明らかになりつつある。その一応の成果は2020年5月現在、アジア政経学会春季大会web開催で報告しているが、2020年度に関係者へのヒアリングを実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの要素が挙げられる。第一に、民間企業に対する金融監督の実効性に関する論文を投稿して、一段階の区切りがついた点である。第二に、そこから国有企業に対する金融監督の実効性に関する調査・研究へ向けた新展開があった。第三に、国有企業に関する新たな事例研究に踏み込み、今後の蓄積が期待できる点である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度において、国有企業のガバナンスに関する諸事件の事例研究の蓄積を進め、国有企業を対象とする金融監督の実効性に関する研究を展開する。 2021年度には、これまでの研究を踏まえつつ、2011年金融庁法案をめぐる動向や国有企業改革など、金融監督の実効性をめぐる政治・行政プロセスも検討し、金融監督の実効性に関する総合的な研究を書籍としてまとめる予定である。 ただし、2020年5月現在、新型コロナ・ウィルス感染症の感染拡大状況により海外渡航が困難になる中で、インドネシアでのフィールドワークの実施やオーストラリア・ニュージーランドへの海外研究者訪問による学術交流といった研究計画は変更を余儀なくされる。 対応策として、主にSNSやオンラインを活用した関係者へのヒアリングや海外研究者との交流を考えている。あるいは、海外渡航に関する予算執行の2021年度への後ろ倒しも検討している。
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Causes of Carryover |
現地協力者の善意のおかげで調査を遂行でき、人件費および謝金が不要だったため。また、多量のデータ購入のような、「その他」の項目に該当する大きな費用支出がなかったため。 その使用計画としては、2020年度において、①インドネシアへの調査渡航、②研究者訪問渡航、③金融規制論、金融監督や金融システムに関する文献の購入費用、および④新聞記事や経済データの購入に充てる計画である。 ただし、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、上記①および②の実施は困難が生じる可能性が高い。その場合、上記③および④を中心に使用していく。
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Research Products
(3 results)