2020 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアにおける歴史地震・火山噴火の被害記録の復元と災害対応の変遷
Project/Area Number |
18K18269
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
梶田 諒介 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (40811112)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | インドネシア / 歴史地震 / 歴史資料 / 観測記録 / 復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インドネシアにおける歴史地震・火山噴火についてオランダ植民地時代の歴史資料を用いながら過去の地震記録および火山噴火記録を復元し、さらにインドネシアの地域社会における歴史的な災害対応と変遷を明らかにすることである。2020年度は、昨年度より引き続き19世紀前半の地震・火山噴火に関する新聞記事より地震の強さを示したオランダ語表現と震度階級の対応、火山噴火の記録など分析を行いつつ、19世紀後半の観測記録の復元も並行して進めた。地震の強さを示すオランダ語表現について、特にJavasche Courant(ジャワのバタヴィア政庁による機関紙)の記事で使われたオランダ語表現(地震の強弱や程度を示す形容詞・副詞)と、揺れを観測した地域、地震の発生日、実際に新聞記事が発行された日付、震度階級、などを紐付けた。この結果、19 世紀前半の新聞は植民地政庁による行政報告書の役割もあり、当時の読者や行政官に対して各地域で発生した重要な自然現象について具体的かつ詳細な情報を共有することを重視した体制であることがわかった。地震はジャワ島を中心にスマトラ島やマルク諸島海域についても報道があった一方、火山噴火についてはジャワ島内が主であり、その他はマルク諸島海域の少数事例のみだった。第39回日本自然災害学会学術講演会において、本課題に関連する「1810-1850年のインドネシアの地震および火山噴火に関する植民地期新聞記事の記述内容と歴史的分析」と題してオンラインにて報告した。また、19世紀後半のスマトラを対象とした観測記録の復元に関する論文も掲載決定済みとなっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染状況は2021年5月現在、未だに収束の気配を見せておらず、日本のみならずインドネシアやオランダにおける入国制限・防疫対策措置も依然として厳しい。当初の計画では2020年度中にインドネシア・オランダにて文献調査、さらにインドネシア・スマトラにて現地調査を予定していたが、上記の理由により海外渡航は不可能だった。また、昨今の情勢も鑑みると、2021年度も海外渡航自体が難しいことが予想される。すでに入手済みの史料、そして植民地期新聞データベース等を用いたデータ復元や分析は継続しており成果も出ているため、様々な可能性を考慮しつつ今後の研究を進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染状況に注視しつつ、インドネシアおよびオランダでの現地調査が実施できない可能性も踏まえて検討と修正を重ねながら研究をすすめる。今後はこれまでの現地調査やデータベースにて入手した文献史料を用いて、植民地期インドネシアの歴史的な地震・火山噴火、そして観測記録の復元に取り組む。各国の入国制限等が解除されるようであれば、現地調査も視野に入れて計画を立てる。
|
Causes of Carryover |
現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染状況は依然として厳しい状況であり実施できなかった。そのため、旅費として計上していた分を次年度にまわす。次年度使用額として生じた部分は渡航制限等が解除されていれば旅費、そして各種文献資料、データ保存用機材の購入を計画している。
|
Research Products
(2 results)