2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of the historical earthquake and volcanic eruption in Colonial Indonesia
Project/Area Number |
18K18269
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶田 諒介 東北大学, 高等大学院機構, 特任助教 (40811112)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インドネシア / 地震 / 火山噴火 / 観測記録 / 雨量 / 歴史資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植民地期インドネシアのジャワ・スマトラを中心に、蘭語史料を用いて地震・火山記録を抽出しデータベースや先行研究にて登録されていない記録の復元をした。コロナ禍のため現地調査が実施できなかったことから、同時期の気象記録を復元し自然災害とも関連する雨量の長期変動を解析した。 まず、地震・火山記録を抽出するために1810-1850年に発行されたオランダ語新聞4紙より記事計110本を抽出および整理した。オランダ植民地政府下にて発行され、各地域で発生した地震や火山噴火に関する速報記事は重要な報道であった。地震記事では地震の強弱を示す使用頻度が高い蘭語表現を整理し、それぞれの地震動の特徴を分析した結果、19世紀前半で規模の大きな地震11件が社会的に重大かつ影響が大きかった。 19世紀前半の火山噴火に関する記事は主にジャワの9つの火山、マルク諸島・バンダ海近辺の3つの火山が中心だった。政庁が置かれた地点と貿易で結ばれる重要地域であったことから、これらの地域では火山噴火の詳細な記事が報告された。 一方、雨量観測はバタヴィアにて1866年より開始され、その後各地域にて雨量観測が正式に開始されたのが1879年であった。植民地期のスマトラ24地点における1879-1900年の雨量観測記録を復元したことで、東岸部ではこの約100年間で乾季(5-10月)の雨量は減少傾向を示したが、西岸部では乾季の雨量が増加傾向を示した。南北に走るバリサン山脈稜線を隔てて東岸・西岸での雨の特徴が変化していることを明らかにした。さらに、19世紀後半ではENSO指標が高い年よりも低い年の方が乾季降雨量が減少していることもあり、エルニーニョ発生と乾季降雨量の相関は小さいことを示した。20世紀後半以降はエルニーニョと乾季降雨量の相関が大きいことを考慮すると、この約100年間で気候の変化があったと考察した。
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