2019 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムの政策型人工林増加に対する木材加工産業の原木調達戦略
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18K18272
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
岩永 青史 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60726107)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベトナム / 木材加工産業 / 人工林材 / 輸入材 / 天然林材 / 木材製品輸出 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベトナムにおける輸入材規制、人工林拡大、天然林伐採禁止が木材需給に与える影響を分析するため、植林企業、木質ペレット企業、MDF企業および集成材企業に対して聞き取りを行い、国内の天然林材および隣国ラオスの輸入材が供給されなくなったことによって、人工林材の需要が拡大していることを明らかにした。 植林企業、木質ペレット企業、MDF企業および集成材企業において聞き取りを行った結果、ベトナム北中部地域における木材需給では、天然林伐採禁止政策および一部の合法性の疑わしい材の輸入制限の影響によって、国内の人工林材の利用増加が起きていることがわかった。特に集成材企業では、農地植林よりも企業植林からの材を多く集めており、反対に木質ペレット企業やMDF企業は企業植林よりも農地植林からの材を多く集めていた。 聞き取りの結果および統計情報の分析から、1)増加を続けるベトナムの人工林面積は2016年に414万haに至り、その内世帯の所有が38.7%で、植林企業が管理する面積は11.2%であること、2)面積的には狭い企業の植林地ではあるが、その生産量は181万m3と世帯の71万m3に比べ生産性が高いこと、3)農地植林と企業植林では原木の質に差があり、製材・集成材用には植林企業が生産した均一な原木でかつ認証材が好まれていることが明らかになった。このように企業植林と農地植林ともに、ベトナムの木材産業にとって人工林は重要な位置づけにあるが、用途ごとに供給源の棲み分けができていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、植林企業3社、木質ペレット企業1社、MDF企業1社および集成材企業15社への聞き取りを行い、その結果の集計・分析を経て、学会において成果を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナム北中部地域の住民植林を行っている世帯に対して聞き取り調査を行い、輸入材規制および天然林伐採禁止という一連の政策が世帯の土地利用・人工林経営における施業と人工林材の需給の動向に与えた影響を解明する。
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Causes of Carryover |
1月から3月にかけての調査を新型コロナウイルスの影響で自粛したため。 影響がなくなり次第調査を再開する予定である。
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