2018 Fiscal Year Research-status Report
台湾の農村地域における観光資源の利用実態の解明に向けたビッグデータによる空間分析
Project/Area Number |
18K18274
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
黄 エンケイ 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (40750526)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | グリーンツーリズム / 地域資源 / データベース / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,GTの先進国とされる台湾における全国規模のGTデータベースの構築と活用を通して、農村地域の観光事業を推進するためのノウハウと成功を左右する要因を導き出すことを目的にする。データベースの構築によって、台湾のGTの全体像を把握することができるだけでなく、同じ地理条件や属性条件の集落をまとめ、比較することができる。 研究の初年度の目標とは、グリーンツーリズムの活動に努めている集落の属性と地域資源のデータベース化である。具体的には、台湾に実施されている農村再生事業のウェブサイトに公開されている各集落の計画書を中心に、地域資源と観光資源に関する情報を整理し、データベースを作成することである。計画書の整理には集落の人口・自然景観・人文景観・農産品・生物・定期的なイベント・代表建築物・民泊・エコーツアーの有無・農業体験の有無・直売所の有無・観光案内センター・観光形態・レジャー農業区の指定の有無・観光発展の度合などの情報を項目別で分けた。2018年には616の集落が報告書を提出したが、2019年には776集落まで増えた。農村再生計画に関する情報整理は中国語堪能のアルバイトを雇用し、進めてもらっているところである。2018年度までには8割の情報整理を完成した。レジャー農業に関する研究については、指定された集落が92か所があり、文献調査・ネット情報の収集を行い、リストを行った。ほかに、グリーンツーリズムに関する地理情報データ、例えば空間情報を含める観光客数の統計値、全国農家民宿の住所、全国の湿地、観光スポットに関するデータを集め、次年度からには分析に用いる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
農村再生事業にかかわる報告書の整理に関する進捗が予定よりやや遅れている。遅れる理由は2つある。その1、農村再生事業のウェブサイトに公開されている報告書は、2018年では616集落だが、今では776集落になった。報告書を処理する件数が増えたからある。その2、アルバイトを雇用し、データベース化にしてもらう作業期間中に、行政機関によるホームページの更新のゆえに、2か月間報告書が閲覧不可能となっていた。3月中旬までには8割の報告書が整理されたが、残りの2割は来年度の6月までに完成するように予定調整を行った。また、昨年度では所属を変更した初年度でもあり、調査地(台湾)への出張の回数が限られている。来年度では現地調査の回数を増やし、行政機関と住民関係者へのヒアリングを行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度では、まず、農村再生事業に参加した集落の報告書に基づき、整理できた地域資源のデータベースの可視化と、レジャー農業区に指定された地域に関する情報のマッピングを行う。 また、昨年度に収集できたGISデータを活用し、グリーンツーリズムに取り組んでいる農村再生事業集落とレジャー農業区の地理的特徴を明らかにする。 なお、当初では、グリーンツーリズムの経営者側の意見収集を行うために、農村再生事業の616集落リーダーを対象に郵送アンケート調査を予定したが、予算のわりに、回収率の不安要素が高いため、92か所のレジャー農業区の地域リーダーを対象に変更する。レジャー農業区は地域住民による地域資源の活用が観光資源にうまく転換した成果で、レジャー農業区に指定されることができた。農村再生事業のもとで成長してきた集落も多くある。そのために、92か所のレジャー農業区に絞った。具体的な研究調査は、レジャー農業区の法制度と実態を把握し、現状を明らかにする。 さらに、92か所のレジャー農業区のリーダーを対象に、電話アンケート調査を行う。利用客に関するアンケートについては、ウェブアンケートを行うか、観光客の多様性が高いレジャー農業区を対象に、事例調査を行うか、これから検討する。
|
Causes of Carryover |
次年度の使用計画では、農村再生事業報告書のデータベースを整理するに必要な謝金、電話アンケート調査の実施に必要な謝金、webアンケートの実施(金額と効果を検討中)、現地調査の旅費、研究調査にかかわる物品の購入を予定している。
|