2019 Fiscal Year Research-status Report
台湾の農村地域における観光資源の利用実態の解明に向けたビッグデータによる空間分析
Project/Area Number |
18K18274
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
黄 エンケイ 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (40750526)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | グリーンツーリズム / 地域資源 / データベース / 空間分析 / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の内容は4つの方向に分けられ、それぞれは1)農村地域(700以上の集落を対象として)の観光地域資源データベースの構築、2)台湾全国における観光資源のマッピングと空間分析、3)レジャー農業区の形成と管理評価、4)事例調査となる。 研究開始の1年目では農村再生計画事業における観光資源のリストアップとデータベースの整理を目的にしたが、データ量は予定したよりも複雑のため、完成まで1年半もかかり、納期が研究期間の2年目の上半期まで伸ばした。2年目の上半期は農村再生計画事業のデータ整理を完成した。6月中旬には最も多くのレジャー農業区を持つ宜蘭県政府にインタビューを行い、レジャー農業区の管理と評価指標の設定について把握した。また、県内3つのレジャー農業区にも現地を調査した。宜蘭県は、高速道路の建築によって台北市から車で一時間に短縮した。宜蘭県の観光業はこの影響で活発になった。レジャー農業の管理は独自の評価基準を設けた。こういった基準の活用はレジャー農業の品質管理に貢献した。8月下旬には屏東県の原住民集落に位置する地下ダムに調査し、国際交流研究会に参加した。日本人の鳥居信平が建設したレガシーで、日本植民地時代に残した地域資源として有名である。今回の研究会はプログラムの企画と講演者とのやり取りにも貢献した。研究会には日本の水資源・環境学会と台湾の屏東国立大学の研究者、県政府の方々も参加した。地下ダムは伏流水を活用しながら、周辺環境の生態系を最大限に考慮したうえに、作られた。今でもきれいな水が流れ、住民に生活用水と灌漑用水を提供している。2年目の下半期は、空間地理データと観光に関する統計データの収集とマッピングに専念した。データの統合と分析は次年度に実施する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来、本年度下半期に実施する予定のアンケート調査は地元住民との調整が間に合わなかったため、最終年度に繰り延べることに決めた。しかし、2020年1月からコロナウイルスパンデミックのため、台湾の観光業に大きなダメージが及んだ。このような社会背景の下で実施したアンケートは平常時に実施した結果は大きく異なると予想した。地元住民や観光客へのアンケートの実施は不謹慎と思われるおそれがある。そのために、本研究ではアンケート調査を割愛することを検討している。一方、生態系サービスの中の文化的サービスでは、レクリエーションが重要な要素として取り上げている。観光資源を活用することとは、人間が大自然の恩恵を受けることに繋がる。そのため、本研究では、文化的サービスを根幹として、レクリエーションに繋がるサービスを研究内容の一部として加え、観光資源の空間分析を行うことにする。研究に必要なデータはこれまで収集してきたデータと同じ、アンケートを省くことの代わりに、土地利用データをデータ収集のリストに追加した。
|
Strategy for Future Research Activity |
レジャー農業区がウェブ上に公開されているデータ整理と空間分析文化的サービスの評価に用いるデータ処理に必要の謝金;現地調査・インタビュー・学会参加に必要な旅費;論文作成、英文校閲、投稿審査料に必要な費用;研究の遂行に必要な品物の購入を予定している。
|
Causes of Carryover |
今回のパンデミックが解消されるまで、台湾への現地調査やアンケート調査は困難となった。当初では、オープンデータにないデータをアンケート調査の方法で収集する予定だが、アンケート調査ができない現在では、既存のデータを活かし、解析を行う方向に修正した。アンケート調査と現地調査は海外出張が可能になる時に実施する。実施できないときには、論文投稿料と英文校閲費に使うことにする。
|