2019 Fiscal Year Research-status Report
観光政策立案実践の為に自治体職員に必要となる専門スキル把握と教育プログラムの提案
Project/Area Number |
18K18276
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
平田 徳恵 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任助教 (90802942)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 観光まちづくり / 観光政策 / 地域資源 / 環境マネジメント / 地域ブランディング / 社会人教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続的な観光地域づくりのためには、観光関連産業の経営と地域づくり・地域資源マネジメントを両輪で連携しながらの施策の実践が必要となる。加えて、自治体や地域の事業者など多主体での官民協働の観光まちづくりを進めるためには、地域の自治体内に適切な施策の企画立案や地域での実践を実現できる人材が必要となる。本研究は、以上の仮説に基づき、観光政策立案実践人材としての自治体職員に必要となる素養、知識、技術内容を把握し、自治体職員に向けた教育プログラムを提案することを目的としている。 初年度においては、当初の研究実施計画の修正を行い、国内外における観光人材育成社会人教育の実施状況について調査整理し、東京都多摩地域の自治体職員を対象として指標設定等に関わるデータ教育プログラムを地域創生スクールとして開発・試行した。また環境認証を観光地マネジメントに活用している事例について調査を行った。 2019年度においては、抽出した地域資源マネジメント実践事例に関わるキーパーソンへのインタビュー調査等を行い、これにより得られた知見から、調査項目を検討、半構造化インタビューの再設計をし、次年度に向けて調査準備を行った。また、初年度の研究成果の一部について、日本建築学会(北陸)大会学術講演選抜梗概オーガナイズドセッションにて口頭発表し、さらに、日本建築学会技術報告集(査読付)に「ブルーフラッグの活用による持続的な観光地づくりの可能性~日本初認証の2地域に着目して」と題する論文を投稿、2020年6月号(第26巻 第63号)に掲載が決定している。また、2019年度の研究成果の一部については、2020年9月の日本建築学会(関東)大会学術講演会での口頭発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に、当初の研究実施計画を一部変更し、まず、観光人材育成に向けた社会人教育について国内外における状況について調査整理し、観光人材育成体系のレビューを前倒して行った。また、データ教育プログラムの試行により得られた知見を整理し、9月と11月に日本建築学会および日本都市計画学会大会において口頭発表を行った。さらに、観光政策立案人材の把握について、特徴的な環境認証の取得により地域資源マネジメントを行っているとみられる自治体を抽出し、一部の観光政策立案実践人材に対するインタビュー調査を行った。 そのうえで、今年度は、まず初年度の調査の結果を論文として取りまとめた。さらに、当初の研究計画通り、キーパーソンのキャリアパスを把握するための半構造化インタビューの検討および再設計を行った。これと並行して、国内外の観光系大学教育機関における観光経営教育プログラムについて調査を行い、報告書として取りまとめた。 しかしながら、今年度の後半に行うものとしていた抽出した観光政策立案実践人材としてのキーパーソンに対するインタビュー調査による学歴、業務履歴等の把握とテキスト化データからの自治体職員、派遣専門家の持つ素養・知識・技術と専門スキルの修得プロセスの分析については、当初の計画の一部についてのみを行うに留まった。 以上から、当初の研究実施計画の変更に伴い、前倒ししての調査研究を行ってはいるが、当該年度の研究進捗状況としては、研究期間全体からみてやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度においては、引き続き、観光立案実践人材としてのキーパーソンに対するインタビュー調査を行い、聞き取り内容のテキスト化データから分析を行う。これにより自治体職員、派遣専門家に必要となる素養・知識・技術を把握するものとする。ただし、特徴的な観光関連政策立案に関わった人材や政策実践を行っているキーパーソンへの調査手法として、現地でのインタビュー調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、国内での移動等に制約が生じることが考えられるため、オンライン会議システム利用によるインタビュー調査等への調査手法の変更を検討している。 また、前述の手法による調査では、現地における政策実践状況の把握ができない可能性が高いことから、現時点で3期終了済みの自治体職員に対するデータ教育プログラム等において回収したアンケート記述のテキストデータ化および分析を行い、自治体職員に必要となる知識や技術の把握について補完し、教育プログラムの提案に反映するものとする。 以上の計画により、最終年度となる次年度において、観光政策立案実践人材のための教育プログラムの提案のとりまとめに向け、研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況の区分選択理由に記したとおり、初年度において研究実施計画を変更したことにより生じた人件費・謝金および物品費の残金については、当該年度に合わせて使用することを予定していたデータ分析と一部の物品購入を次年度に延期したため、次年度使用額が生じた。 これらについては、令和2年度の予算と合わせ、次年度における物品購入および研究調査費に使用する予定である。 また旅費については、令和元年度末に予定していた現地調査について、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、令和2年度に行うものとしたことから、次年度使用額が生じた。 これらについては、次年度の予算と合わせ、研究調査費および学会発表等の経費として使用する予定である。現時点では、2020年9月に開催予定の日本建築学会大会にて、研究の一部について発表予定であり、その経費として旅費・その他の一部を使用する予定である。
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