2019 Fiscal Year Research-status Report
ポリネシア・ツバルにおける気候変動ツーリズムと観光経験
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18K18285
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
小林 誠 東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (10771826)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 観光経験 / 消えゆく景観 / 島 / ポリネシア / ツバル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ポリネシア・ツバルを事例に、気候変動ツーリズムにおける観光経験について明らかにすることである。観光経験の中でも、観光者がいかに対象となる景観や海景、自然・社会遺産を意味付けし、そして、どのようにそれを気候変動をめぐる物語に位置づけているのかに注目する。 今年度は、気候変動ツーリズムをめぐる既存の研究についての文献調査を継続して行うことで、気候変動ツーリズムをめぐるこれまでの研究の成果と問題点、そして本研究がそれに対してどのような提言が可能なのかが明らかになった。 聞き取り調査も継続して行い、今年度もツバルでエコツーリズムを牽引してきた団体の元スタッフから聞き取り調査を行い、主催者側も立場や経験などによってツバルやそこに暮らす人々をそれぞれ異なった見方でとらえていることが明らかになった。この点はツバルへの観光経験にも大きな影響を及ぼしていると予想され、実際、今年も引き続き観光者への聞き取り調査を実施したところ、彼らの多様な観光経験を捉えることができた。 研究の成果は7月に行われたAsia Pacific Tourism Associationで発表した。質疑応答を通して、新たな視座を得ることができた。それを踏まえて、12月には日本観光研究学会で発表し、本研究を改めて観光研究の中で再検討することができた。また、両学会中に行った観光研究者や実務家との意見交換を通して、問題意識を言語化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主催者側と観光者側の双方に対してさらなる聞き取りを重ねることで、単に情報量が増えただけでなく、気候変動ツーリズムにおける観光経験を重層的に捉えることが可能となった。また、文献研究と学会での議論を通して、観光研究における本研究の理論的な貢献も明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
ツバルにおける気候変動と観光の現状を明らかにするべく現地調査を計画していたが、世界的な新型コロナウイルスの流行が今後も続くことを考えると、計画年度中での実現は困難であると考える。代替手段として、インターネットで入手できる文献に絞ってこの点についての調査を進めるとともに、これまでの文献調査と聞き取り調査によって得られたデータの分析を進め、それを投稿論文へとつなげていくことを目標にする。投稿先は、『観光研究』やAsia Pacific Journal of Tourism Research、People and Culture in Oceaniaなどを計画している。 また、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を背景に、各国が人の移動を大幅に制限し、それに伴い国境を越えた観光が著しく減少するという事態になっている。観光研究においてこの事態がどのように議論されるのかの最新情報を収集、分析し、自らの研究を同文脈に位置付けて見直していく。
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Research Products
(6 results)