2018 Fiscal Year Research-status Report
A Research on Human Resource Development for Entrepreneurs in the Tourism Sector
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18K18287
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Research Institution | Shizuoka Eiwa Gakuin University |
Principal Investigator |
崔 瑛 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 准教授 (60635770)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 女性起業家 / 観光ベンチャー / 起業家育成 / 観光教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,①観光分野に特化した起業家育成の理論的体系を構築したうえで,②観光分野の起業家育成,ならびに起業家精神育成に向けた教育プログラム設計と③観光分野の起業支援関連の国内外先進事例・類型別観光起業家の要望と実態を把握することを目的としており,最終的に,④観光分野における起業家育成・支援方策を提案することを目指すものである. 本年度は,①観光分野における起業家育成に関する理論的体系の構築に向けた資料収集と整理を行うとともに,②教育の実践に取り組んだ.また,③観光分野起業家の起業に至った背景,必要とされる教育・支援へのニーズ,国内外の観光分野起業家の支援事例を調べてきた.上記の取り組みから,大きく2つの研究実績をまとめることができた. 1つ目の研究成果として,教育プログラムの検討に関する取り組みがある.2018 年度後期に,起業家育成ゼミナールを実施し,静岡英和学院大学・静岡英和学院大学短期大学部紀要 (第17)「産学連携による起業家育成ゼミナールの実践-B-nestと静岡英和学院大学の経営・観光教育の取り組み-」に結果をまとめている. カリキュラム構成,学生の学習過程や成果について概観し,ワークショップを通した学生の変化や履修成果に対する学生の意見等について考察した.産業界の専門家との教育連携による効果,経営分野と観光分野のコラボレーションによる起業家教育内容の構成に関する知見をまとめた. 2つ目の研究成果として,観光分野の女性起業家をインタビューした「観光分野における女性起業家の特徴」に関する研究がある.起業経験とノウハウについて把握し,共通するポイントや起業につながる教育内容について考察した.来年度は,上記の取り組みをさらに蓄積・発展させ,最終成果に結びつけていく計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の到達目標として,①観光分野の起業家育成に関わる理論的体系構築に向けた検討を行うことと,②国内・海外における起業家,起業家精神育成の教育プログラム・支援制度の動向を把握し,内容分析を行うことを設定した. 上記目標に従って,今年度行った主な取り組みは,①起業家・起業家精神の育成に関わる既往研究を収集し,学術的成果を整理・分析したことである.企業家研究フォーラム等の起業家研究の学術コミュニティに参加し,本研究の進捗状況を報告しており,関連分野の研究者との議論を通して,今後の方向性や成果のまとめ方について,アイデアを得ることができた. ②教育プログラム・支援制度に関する動向把握については,観光分野の起業に関わる複数の関係者にインタビューを実施し事例を収集した.静岡市外郭団体B-nestによるお土産開発関連サポート事業「おみやプロジェクト」の事例,富士市産業支援センターF-bizの取り組み,旅行会社起業希望者を対象とする教育事例等について,関係者や担当者の意見,今までの経緯と成果を把握した. 海外の事例として,韓国観光公社の観光ベンチャー事業(ベンチャー発掘と支援)の現状を把握した.併せて,韓国政府による中小・ベンチャー企業育成関連政策の推進状況についても調べた. 他方,2018年9月から2019年2月にかけ,静岡県・京都府内の観光分野の女性起業家を対象として,起業前の仕事経験,起業に至った経緯,起業への準備と障害,ビジネス展開,人物と特徴について把握し,来年度に実施予定である観光起業家実態調査の準備を行った.今までの調査結果をまとめつつ,事業分野別のリストを作成し,分類する作業を行っている. 以上から,設定した到達目標に沿って,理論的枠組みの設定と事例調査が進んでいる状況であると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,海外現地調査を実施し,調査対象機関・組織の取り組みポイントをまとめ,日本への適応可能性を検討する予定である.2019年5月~6月は,イタリアのスタートアップ関連インキュベーターH-Farmの事例調査を行う.H-Farmは,イタリアの強みである観光,食&ワイン,ファッション等の分野に力を入れており,産学連携の教育プログラムを提供しているため,具体的な教育内容,支援実績,起業家育成の事例等を把握する予定である. また,すでに資料収集を進めている韓国観光公社の事例については,当該事業を通して,事業を起こした起業家に対するインタビューを計画している.その他,フランスやアメリカ等での観光分野の起業教育,支援制度を調べる計画である. 国内の観光起業家の事例収集を引き続き進め,起業家へのインタビューデータを蓄積するとともに,多数の観光分野の起業家向けの意見調査を企画する予定である.起業家側のニーズと要望(必要な支援内容),ビジネスにおける課題等を把握することで,本研究の最終目的である観光分野の起業家育成に必要な教育と支援制度設計に必要な知見を得ることを目指し,来年度の到達目標に従って,海外でのフィールドワーク,インタビューやアンケート調査を続けていく予定である.
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Research Products
(2 results)