2018 Fiscal Year Research-status Report
Survey research for interaction between actants on contents tourism
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18K18289
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
谷村 要 大手前大学, メディア・芸術学部, 准教授 (20579528)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アニメ聖地巡礼 / ファン文化 / 参加型文化 / 場所性 / コンバージェンスカルチャー / 関係人口 / 静岡県沼津市 / ジモト型コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で設定した課題は以下の3点である。(1)コンテンツによって付与される場所性を地域がどう活用しているか(2)アニメ聖地の旅行者(アニメファン)が地域資源の創出にどう関与しているか(3)コンテンツを地域住民がどのように受容しているか。これらの「問い」を踏まえて、研究初年度である2018年度(平成30年度)は、静岡県沼津市や滋賀県犬上郡豊郷町、茨城県東茨城郡大洗町において、住民やファンへの聞き取り調査を実施し、以下の知見を得ることができた。 (1)に関しては、現在進行形でコンテンツを活用した地域活性化事業が展開されている沼津市や大洗町の商店では、コンテンツで描かれた場所性よりもスタンプラリー等のキャンペーンで各商店と紐づけられたキャラクターがリピーターを呼び寄せる契機となる状況がうかがえた。また、(2)のアニメファンが地域資源の整備に関わる事例調査では、地域住民や地域在住のファン、地域外のファンなどさまざまなアクターが結びつきあう中で活動が活性化されていく過程が浮かび上がってきた。さらに、地域のまちおこしNPOへファンが入会し、地域活動に積極的に参加していく状況も見られた。(3)の課題に関しては、地域がコンテンツを受容するために一定の時間を要していること、コンテンツが地域内で商店間の新たなネットワークを創出していく状況もわかってきた。 これらの研究成果の一部は、第38回情報通信学会大会における口頭発表や亀岡市文化資料館での講演、『地域活性研究』第10号の論考で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度終盤に家族の介護のため、研究の進捗が滞る部分もあったものの、当初の計画通り、事例のリストアップと、地域住民やファンへの聞き取りを実施することができた。また、一部の成果について公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究調査活動は、2018年度の調査で得られた知見をより深めていく作業を進める。具体的には以下の三点を明らかにするための聞き取り調査を主に沼津市の住民やそこを訪れるファンに対して実施する。 (1)ファンの地域活動の把握とその動機 (2)住民側のコンテンツやファンの受容の現状と過程 (3)コンテンツ受容後の地域住民間のネットワーク形成。 また、昨年度の調査から得られた成果の公表も進めていく。
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Causes of Carryover |
2018年度は、調査に伴う旅費および調査協力者の謝礼、また研究の実施にかかわる資料の購入に研究費を使用した。 2・3月に行う予定だった調査研究が、家族の病状悪化に伴う介護のため、実施できなかったことが旅費および人件費に未使用額が生じた要因である。物品費に関しては、研究資料の購入に他の研究費を活用できたこともあり、次年度に回すこととなった。 次年度は、2018年度に実施できなかった分も合わせて調査を進めていくため、未使用分はその活動に充てたい。
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Research Products
(5 results)