2021 Fiscal Year Research-status Report
「労働力の女性化」再考―バングラデシュとインドにおける縫製女性労働者の事例から
Project/Area Number |
18K18290
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長田 華子 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (20632285)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 縫製産業 / インド西ベンガル州 / バングラデシュ / 労働力の女性化 / グローバル・サプライチェーン / 家内労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バングラデシュ(首都ダッカ)とインド(西ベンガル州コルカタとタミル・ナドゥ州ティルプール)の縫製(工場および家内)労働者を事例として、「労働力の女性化」の概念を再考するものである。なお、当該年度の6月14日から3月末日まで、産休・育休を取得したため、上記期間は研究を中断している。 当該年度の主な研究成果は、雑誌『経済』2021年7月号(新日本出版社)に掲載した論考「グローバル・サプライチェーンとディーセント・ワーク」を執筆したことである。本稿は、バングラデシュとインド西ベンガル州で実施した縫製工場および家内労働者の実態にもとづいて、グローバルに展開するサプライチェーンの動向と、そのもとでの女性雇用の実態と課題、そうした課題への対策について、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の観点から執筆したものである。本研究課題の成果を一般の読者向けに、平易に執筆したものであり、学術成果の公表という点で、意義がある。 このほか、丸善出版社から2022年12月刊行予定の『ジェンダー事典』の「労働力の女性化」の項目を執筆した。すでに、原稿は執筆し、編者に提出済みである。執筆に際しては、本研究課題の解明を基盤としている。前年度から引き続き行っている、先行の理論、実証研究を整理しながら執筆した。事典の用語解説であり、2400字という比較的短い文章ではあるが、本研究課題が研究の目的とする「労働力の女性化」の概念を再検討をするうえで重要な試みであったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の6月14日から3月末日まで産休・育休を取得したため、上記期間は研究を中断したから。
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Strategy for Future Research Activity |
産休・育休を取得したことに加えて、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、バングラデシュとインドでの現地調査を実施できていない。今年度も、調査地であるバングラデシュとインドでは感染状況の収束を見込めず、現地調査は困難であると考える。ただし、インド西ベンガル州での調査はおおむね終えられており、バングラデシュで実施したこれまでの調査結果と合わせて、「労働力の女性化」の概念を検討する上での材料はそろっていると考えている。当初実施を計画していたタミル・ナドゥ州ティルプールでの調査は、現時点で本研究課題の実施期間中に遂行することは困難だと思われるが、ティルプールの縫製産業に関する先行の研究蓄積はあり、そうした研究を検討することで、現地調査の遂行に代替したいと考えている。
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Causes of Carryover |
令和3年度6月14日から3月末日まで、産休・育休を取得しており、その期間は研究を中断しているため。令和4年度4月1日より復職し、研究活動を開始している。研究に必要な書籍等の購入に加えて、学会、研究会等に参加するための旅費として使用する計画である。
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