2022 Fiscal Year Annual Research Report
Family Formation through Surrogacy and Governance of Body: A Case Study of Australia
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18K18293
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 智子 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (20782783)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / 法規制 / 家族の統治 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、オーストラリアを事例として、グローバル化や生殖医療技術の発展の中でいかに家族規範やジェンダー規範が問い直され、再生産されているのかを分析することであった。特に2000年代終わり以降のオーストラリアにおける代理懐胎を含む生殖補助医療とその規制をめぐる議論を検討することで、生殖医療を通した身体や家族の統治について理論的に考察することを目指してきた。 令和2年度以降は新型コロナウィルス感染症拡大のため現地調査を実施できていなかったが、本年度に入り渡豪が可能となったため、コロナ禍以前に行っていた現地調査の続きを行うことできた。特に令和5年2月の現地調査では、代理懐胎に関わるカウンセラーや代理母へのインタビュー調査と資料調査を実施した。その他、日本で取得可能なデータの収集・分析も行った。 さらに、今年度が最終年度であることから、これまでの調査や分析の結果全体を踏まえて、代理懐胎を含む生殖補助医療とその規制が家族や社会、そして個人の生へもたらす影響を理論的に分析した。それにより、代理懐胎、そして生殖補助医療全体を通した身体や家族の統治と個人の身体の自己決定に関する理論として総合することを目指した。その結果については、今後学会誌に投稿する予定である。 成果報告としては、令和4年11月から12月にオーストラリアのメルボルン大学で開催されたThe Australian Sociological Associationの大会に参加し、研究発表を行った。コロナ禍でここ数年、現地調査が実施できていなかったことから、日本で取得可能な資料を使用して、ニュー・サウス・ウェールズ州における生殖補助医療に関わる法の改正プロセスを分析し、第三者が関わる生殖補助医療における「利他性」について贈与等の観点から考察した。現在はこの発表をもとに論文を執筆しており、完成し次第学会誌に投稿する予定である。
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