2018 Fiscal Year Research-status Report
「子の利益」にみる家族観の変容:チュニジアの法的実践とイスラーム的価値観の研究
Project/Area Number |
18K18297
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
小野 仁美 神奈川大学, 外国語学部, 非常勤講師 (20812324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チュニジア / 監護 / 子の利益 / 家族 / イスラーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ムスリム社会における家族観の変容について、子の監護者を決定する際の判断基準となる「子の利益」の概念に注目して調査(文献調査およびチュニジアを主なフィールドとしたインタビュー調査)とその分析を行うものである。 今年度は、チュニジアにおける「家族」概念の近現代における変容を明らかにするため、主にイスラーム法関連文献を分析した。その結果を、日本中東学会第34回年次大会(2018年5月13日、上智大学)にて、「イスラーム改革思想家イブン・アーシュールの「シャリーアの目的」論―思想とその拡がり」(企画セッション(4)現代イスラームにおける「伝統」の継承とジェンダー)として発表した。さらに、Fifth World Congress for Middle Eastern Studies (WOCMES、2018年7月18日、セビリア大学)において、"The Family Concept and Gender Norms in the Works of Tunisian Islamic Scholar Muhammad al-Tahir Ibn 'Ashur"として報告し、諸外国の研究者たちとの交流につなげた。これらの成果は、「『家族』概念と近代的ジェンダー規範─イブン・アーシュールの著作を通して」(査読あり)『ジェンダー研究』(21)121-130,2019年3月として公表した。また、研究報告「中東・イスラーム諸国の憲法と『家族』」科研費基盤研究(A)「イスラーム・ジェンダー学構築のための基礎的総合的研究」「イスラーム・中東における家族・親族の再考」研究会第7回集会(2018年9月29日、東京大学東洋文化研究所)として研究を発展させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、上記の業績を公表できたほか、3月に現地調査(チュニジア)を行い、資料収集および関連機関でのインタビューを行うことができた。それらの情報をもとに、来年度9月の調査予定を詳細に決めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、上記の現地調査にもとづく報告を日本中東学会第35回年次大会にて行う予定である。9月には現地調査にて、チュニジア北部および南部のそれぞれの町でインタビューを予定している。それらの成果を、チュニジアにおける児童福祉の現状を伝える論文としてまとめ、共著として刊行予定である。
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