2019 Fiscal Year Research-status Report
中性子の入射位置・方向に依存しないスペクトル導出手法の確立
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18K18303
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梶本 剛 広島大学, 工学研究科, 助教 (70633759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中性子場 / 放射線遮蔽 / 高エネルギー加速器 / 有機液体シンチレータ / アンフォールディング法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,有機液体シンチレータを用いたアンフォールディング法による中性子エネルギースペクトルの測定において,シンチレータに入射する中性子の位置・方向に依存しないスペクトル導出手法の確立とその適用である.中性子場での測定において球形状以外の検出器を使用する場合,中性子から見ると検出器断面積は見る場所によって大きく変化する.これを解消するために,シンチレータ内の中性子飛跡長から求まる面積でスペクトルを除する手法を提案し,依存性がないことの検証を行う.その適用として,高エネルギー加速器施設内でのエネルギースペクトル測定を実施し,中性子輸送に関する系統的なデータを取得する.現状,導出手法の検証およびエネルギースペクトル測定実験とそのデータ解析を並行して行っている. 導出手法について平成30年度に引き続き,更なる検証を行った.実際の測定環境を模擬したシミュレーション計算を行い,検出器に入射する中性子エネルギースペクトルと,実際の解析まで模擬したスペクトルで比較検証した.その結果,前年度と同様の結論--応答関数には僅かに中性子入射位置・方向依存性があるが,それらの差異は,アンフォールディング法による再現性の悪さに埋もれること--が得られた.一方で,アンフォールディング法の精度の向上のために,スペクトル導出時に必要となる光出力校正点の取得法を確立した.連続エネルギー陽子測定によるシンチレータを突き抜けと停止する境界の点から校正点を得る.今まで取得できなかった大きな光出力値で校正点が得られる. スペクトル測定実験は,平成30年度に欧州原子核研究機構(CERN)の24 GeV/c 陽子ビームを利用した混合粒子場施設(CHARM)で行っている.前述の新たな光出力校正点を踏まえてデータを解析し,スペクトルを導出した.さらに,シミュレーションコードによる詳細体系での計算を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手法の検証およびその精査が完了し,実験値が導出できている.令和2年度では,シミュレーションコードによる計算,得られた計算値を実験値と比較・検証する予定であり,当初の計画通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
実験値と計算値の比較検討,円筒形検出器で測定したエネルギースペクトルから線量当量導出の検証をするために,モンテカルロシミュレーション計算を行う.実験時の詳細な幾何学形状を模擬し,出力として,検出器設置場所の検出器に入射する中性子エネルギースペクトル,同一地点での球に入射する中性子エネルギースペクトルを得る.既に,計算を開始しているが月オーダーの膨大な計算時間を要すことが判明している. 実験値と計算値の比較検討では,エネルギースペクトルによる比較,線量当量による比較を行う.線量当量の比較に際し,検出器は円筒形であり,ICRU球とは異なる幾何形状であることから,その検証も行う.検証は,前述のシミュレーションコードによる計算結果を用いて行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由,旅費は研究協力者との研究打合せ中止,参加を予定した学会の開催中止のため,人件費は業務を担当する予定の学生が休学したためである. 使用計画として,人件費は他の学生に業務担当してもらう.旅費は学会発表を積極的に行う予定である.
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] CERN/CHARM における 24GeV 陽子を用いた遮蔽実験 (10) 有機液体シンチレータを用いた迷路中の中性子エネルギースペクトルの測定2019
Author(s)
梶本 剛, 佐波 俊哉, 中尾 徳晶, 李 恩智, 八島 浩, 松本 哲郎, 増田 明彦, 大山 隆弘, 長畔 誠司, 上蓑 義朋, 田中 憲一, 遠藤 暁, Froeschl Robert, Iliopoulou Elpida, Infantino Angelo, Roesler Stefan
Organizer
日本原子力学会 秋の大会