2019 Fiscal Year Research-status Report
高速C60イオンビームによる機能性高分子材料の三次元分子分布イメージング法の開発
Project/Area Number |
18K18309
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
千葉 敦也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 主幹研究員(定常) (40370431)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | C60イオンビーム / イオンマイクロビーム / 分子マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、2次イオン放出現象における高速クラスターイオン特有の照射効果に着目し、タンデム加速器でMeVエネルギーに加速した高速C60イオンビームをレンズで集束させた世界初となる高速C60イオンマイクロビームを用いて、機能性有機薄膜や有機/無機複合材料などの高分子材料の表面、階層界面や有機/無機境界面における主要分子の分布や濃度を高空間分解能(1um)で三次元可視化する高度分析技術を確立する。 これまでに、C60イオンマイクロビームの形成に必要な技術開発として、高強度ビームの生成が可能なC60負イオン源と質量の大きなC60を効率よく集束するための静電型四重極レンズの開発及びビームサイズ評価システムの構築を行った。 2019年度は、①高速C60イオンマイクロビームの形成及び②分子マッピング装置の開発を行った。成分既知試料を対象に行った測定実験では、分子マッピングの測定結果から高度顕微分析に対する高速C60イオンビームの有用性を確認した。 ①では、50um径のピンホールスリットを対物スリットとし、5MeVのC60イオンビームでマイクロビーム形成試験を行った。電顕用グリット(400メッシュ)からの2次イオン強度分布をもとにビームサイズを評価したところ、3.0um(水平方向)×2.3um(垂直方向)であり、レンズ集束率は起動シミュレーションの結果に概ね一致した。 ②では、2次分子イオンの分析に用いる飛行時間型2次イオン質量分析装置(TOF-MS)を構築するため、TOF管の設計・製作及び計測プログラムの開発を行った。C60マイクロビームを水平/垂直方向にそれぞれ100ステップ走査して試料に照射し、ステップ毎にパルスビーム方式によりマススペクトルを自動取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロビーム形成において対物スリットを20um径とすることで目標とするビームサイズ1umを達成できる見込みを得たこと、TOF-MSによる表面顕微分析に対する高速C60イオンビームの有用性が示されたことから概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
対物スリットとして20um径のピンホールスリットを設置し、ビームサイズ1um径の高速C60イオンマイクロビームを実現する。分子マッピング装置では、2次イオンパルス引出方式の開発や計測プログラムの改良によりFOT-MS取得時間の高速化を図る。顕微3D分子マッピング技術を確立し、機能性有機薄膜や有機/無機複合材料などの高分子材料に対する表面界面分析装置としての有用性を評価する。
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Causes of Carryover |
TOF管及び2次イオン分析装置の製作コストを抑えたことや参加を予定していた学会が中止となったことにより次年度使用額が生じた。分子マッピング計測の高速化に必要な分析装置の改造費やシステムモジュール等の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)