2020 Fiscal Year Research-status Report
残薬問題の解決に向けた包括的デザインアプローチに関する研究
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18K18323
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
小川 直茂 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 准教授 (60564119)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医薬品リテラシー / くすり教育 / 情報デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、残薬問題の社会的改善に向けた具体的なデザインテーマとして複数のテーマを設定し、それらのテーマへの包括的取り組みによる問題の解決を目ざしている。2020年度は「薬剤服用に対する知識・意識に注目した残薬問題の改善=医薬品リテラシー教育ツールのデザイン開発」のテーマについて、前年度の研究成果を踏まえ、医薬品リテラシー教育および教育ツール開発に向けた要件抽出を行った。くすり教育を経験している若年層の医薬品リテラシーについて現状調査を行い、その調査結果を分析したところ、医薬品情報について一定水準の理解度はあるものの、その知識が薬剤服用時の適切な行動に必ずしも結びついていない可能性が示唆された。また階層型クラスター分析を行った結果、回答者の傾向を6つのグループに類型化できることが分かった。最終的に、今後の医薬品リテラシー教育および教育ツールのあり方を検討する上で重要と考えられる4つの要件(①医薬品知識の伝達に加えて,行動遵守の意義の訴求に重点を置いた教育内容の検討 ②知識・意識傾向の異なる各受講者に教育内容を最適化させる教育方法の検討 ③薬剤師とのコミュニケーションの意識を促す教育内容の検討 ④図的情報を積極的に活用して受講者の関心と理解度を高める情報表現の検討)を抽出し、教育ツールの開発に向けた基本方針を策定することができた。以上の研究成果をとりまとめ、日本デザイン学会が発行する学術誌『デザイン学研究』に査読付論文として投稿した(掲載決定済)。 今後は、当該年度に得られた知見にもとづき、医薬品リテラシー教育ツールのコンセプトモデルのデザイン提案取りまとめに着手するよう計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの達成度は上記【研究実績概要】に記入した通りである。設定した3つのテーマのうち、「利用者の薬剤服用時に注目した残薬問題の改善=残薬状況の把握支援のためのデザイン開発」 「薬剤服用に対する知識・意識に注目した残薬問題の改善=医薬品リテラシー教育ツールのデザイン開発」についてはおおむね順調な進展となっている。「服薬管理指導に注目した残薬問題の改善=薬情報の共有・管理システムのデザイン開発」については、調査実施にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記【研究実績概要】に記入した通り、当該年度に得られた知見にもとづいて、医薬品リテラシー教育ツールのコンセプトモデルのデザイン提案を取りまとめていく。また 「服薬管理指導に注目した残薬問題の改善=薬情報の共有・管理システムのデザイン開発」についても早急に調査体制を整えて研究活動を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
執行を予定していた旅費および学会大会参加費の一部が、新型コロナウイルスの影響によって未執行となり、当初計画していた予算よりも低減したため。
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