2018 Fiscal Year Research-status Report
考古学データの統合研究環境の構築:文化伝達プロセスの推定とデータベース構築
Project/Area Number |
18K18325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 光平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60725274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文化進化 / 考古学 / 数理モデル / 土器 / 弥生時代 / 幾何学的形態測定学 |
Outline of Annual Research Achievements |
遠賀川式土器と、それに先行する突帯文土器の形態を、幾何学的形態測定学の一手法である楕円フーリエ解析をもちいて定量化し、土器形態の地理的変異を定量化・可視化した。土器は、ゆるくではあるが、遺跡ごとにまとまりをつくる傾向があった。また、地理的に近い遺跡の土器がつくるクラスターは、近接していた。さらに、突帯文土器と遠賀川式土器は、それぞれ別のクラスターをつくる傾向がみられた。 加えて、文化の融合を扱う数理モデルを構築した。各個体(土器の製作者)は、前世代の製作した土器を模倣し、それに若干の改良を施すことで、土器の製作をおこなうと仮定した。模倣の際に選択するのは土器形態の特徴量に依存する。通常は、複数ある形態の特徴量を、すべて単一の土器から模倣するが、一定の確率で、複数の土器の形質を独立に模倣し、土器の製作をおこなうとした。模倣の仕方として、ランダム、特定の形態の形質値が大きいほど好まれるモデル、集団の多数派に同調するモデルを検討した。複数の形質を独立に模倣する場合、それぞれの形質について、異なる模倣戦略をとりうるとした。このような仮定のもと、とくに異なる2つの集団が接触した場合について注目して、模倣の仕方や初期状態によって、時間とともに形態の特徴量がどのように変化するかを検討した。 また、国内外の学会で、考古遺物の幾何学的形態測定学に関する発表をおこなったほか、関連分野の総説およびチュートリアルを執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ解析、数理モデリング、データベースのそれぞれがおおむね順調に進んでいる。数理モデルの構築はおおむね完了しており、今後データへの当てはめがおこなえる状況にある。また、複数の文化伝達プロセスをデータから判別する見通しもついている。土器データについては、当初の想定よりも集まっていない地域があるものの、大まかなパターンを把握することはできている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、データへの当てはめとデータベースの整備を重点的に行う。 数理モデルについては、生物の遺伝子型と表現型の対応を参考にし発展させる。模倣のされやすさは形態の特徴量(表現型に対応)に依存するが、伝達されるのは技術要素(遺伝子型に対応)だとする。文化の融合を扱う場合、形態形質を直接的に融合させるのではなく、技術要素を融合させるとする。この融合のさせ方により、形態の変化がどのような軌跡をえがいておこるのかを検討する。 データ解析においては、近畿地方のデータが当初の予定よりも集まっていないため、引き続き文献調査をおこなうとともに、東海地方まで射程を広げる。また、個々の遺跡についても、層位ごとの傾向などの検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
第一子出生に際し配偶者出産休暇および育児休暇を取得したため。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Analysis of archaeological data based on 0,1-vector models2018
Author(s)
Yutaka Kobayashi, Mitsuhiro Nakamura, Kohei Tamura, Kenichi Aoki, Shun Kurokawa, Joe Y. Wakano, Shinji Kato , Miho Suzuki, Jun Takakura, Kazuya Nakagawa, Atsushi Noguchi, Takuya Yamaoka, and Yoshihiro Nishiaki
Organizer
PaleoAsia 2018 (The International Workshop, Cultural History of PaleoAsia)
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[Presentation] Statistical analyses of archaeological cultures based on 0,1-vector models2018
Author(s)
Mitsuhiro Nakamura, Kohei Tamura, Kenichi Aoki, Yutaka Kobayashi, Shun Kurokawa,Joe Yuichiro Wakano, Shinji Kato, Miho Suzuki, Jun Takakura, Kazuya Nakagawa, Atsushi Noguchi,Takuya Yamaoka, Yoshihiro Nishiaki
Organizer
PaleoAsia 2018 (The International Workshop, Cultural History of PaleoAsia)
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