2018 Fiscal Year Research-status Report
Study of virtually revitalizing the town of Namie and reconstructing its community
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18K18326
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 加奈子 東北大学, 情報科学研究科, 学術研究員 (80782044)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デジタルアーカイブ / 写真 / 物語 / 原発避難者 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国散り散りになった原発避難者は、 避難者であるというスティグマによって口を閉ざし, 孤立した状 況下で生活をおくっている. 震災前の町の様子や思い出は語られなくなり, 町自体が消滅した かのようになってしまった. 次世代に向けた地域の記憶や文化の継承は危機的状況である. この状況を改善するためには, 避難者の語りを積極的に引き出し, アーカイブできるシステムが必要である. 本研究では、バーチャルコミュニケーションを原発避難者のスティグマ解放と地域記憶継承問題のために、浪江町民がどこからでも参加でき, 心の拠り所となるようなバーチャルコミュニティー形成モデルを開発し、第三者も利用閲覧できる新しいタイプのアーカイブシステムを構築する. 本年度はふるさとの再生にあたり、何が当事者の心を癒すのか、拠り所となるのかについて質的調査を行なった。具体的な調査環境として、オンラインでだれでも写真とそれにまつわる物語を投稿できるデジタルカレンダーの運営を1年間行なった(ナミエノジカン)。この取り組みと合わせて、復興公営住宅の集会所にて、4回写真講座を開催し、写真による思い出の想起について調査を行なった。 これらの調査から、当事者たちの個々の記憶と物語の抽出をすることができた。季節の移り変わりや写真などの視覚的な記録を導入することで、記憶の誘発を行い、さらに現在の生活をプラスにしていく要素を確認することができた。これらの知見を元に、オンライン上でコミュニケーションがとれ、かつ物語の誘発が可能なシステムの構築を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2月に出産し、妊婦での体調不良もあり、約半年のブランクがあるが、1年間オンラインでプロジェクトを走らせていたのでデータの蓄積はできた。今後は開発に向けて注力する。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した「ナミエノジカン」を使用し,浪江町民に対しワークショップ・モニタリングを開始 する.モニタリングを行うにあたり, 福島市市民センターやふたば未来学園にて使用方法のワ ークショップを開く. モニタリング開始後, 数日間, 1 ヶ月, 半年, 1年と定期的にヒアリング調 査を行い, アクセスログなどから分析する. さらに、 利用者間の対話記録やアップロードや視聴したコンテンツに対するコメントを対象に社会的 形成(コミュニティー)とそこで行われる相互行為をゴフマンの演劇論を用いて検証する. これらの;調査結果の分析を現象学的研究法に従うとともに相互行為論(ゴフマンのドラマツルギーやコミ ュニケーション論)を指標にバーチャル環境におけるふるさと物語の生成継承性と「場」の理論構築を行う。
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Causes of Carryover |
打ち合わせ、調査、ワークショップなど妊娠後期に差し掛かったため、延期になった。引き続きワークショップの開催(人件費)と開発(開発費)を進める。
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