2019 Fiscal Year Research-status Report
放送番組アーカイブの日欧米比較──戦争資料映像の構成と国際展開を基軸として
Project/Area Number |
18K18327
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
辻 泰明 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30767421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 映像アーカイブ / 国際展開 / インターネット動画 / 放送番組 / 戦争映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二次世界大戦前後の時期における戦争に関する映像資料の構成と展開を基軸として、日欧米の公共的放送番組アーカイブを調査し、これまでおこなわれていなかった国際比較の観点にたって、それぞれの特性を解明することである。2年目にあたる2019年度は、前年度におけるアメリカの放送番組アーカイブに関する調査結果の分析を進めると共に、ヨーロッパにおける放送番組アーカイブにおいて、本格的な調査を実施した。 まず、前年度の調査結果から、日欧米各国の公共的放送番組アーカイブの全体像分析の核とすべき事例研究について、その対象となるコンテンツの選定をおこなった。 次に、この選定を元として、2019年度は海外アーカイブに関しては、ヨーロッパを代表する放送番組アーカイブであるフランス国立視聴覚研究所L’Institut National de l’Audiovisuelにおいて訪問調査およびインタビューを実施し、戦争映像の構成および展開について多くの知見を得た。また、そのオンライン・データベースを提供するイナテーク(フランス国立図書館フランソワ・ミッテラン館B内)において、訪問調査およびインタビューを実施し、データベースにおけるコンテンツ収蔵の構造と戦争映像コンテンツ展開に関するデータを収集した。 さらに、実地調査の結果を踏まえて、日欧米の公共的放送番組アーカイブをコンテンツ展開の観点から比較する分析にも着手した。 また、これらの調査および分析の過程で明らかになった、インターネット動画メディアにおける映像コンテンツ展開の実相を、2019年度に発行した図書『インターネット動画メディア論 ──映像コミュニケーション革命の現状分析──』に反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3か年計画の2年目である2019年度は、前年度の調査結果に対する分析により、コンテンツに関する知見を得た上、ヨーロッパにおける主要な放送番組アーカイブの実地調査とインタビューを実施し、日欧米の放送番組アーカイブを比較するための的確なデータを収集しえたことによって、本研究の目的は特段の支障なく達成できる見込みとなった。また、調査結果を、2019年度に発行した図書に反映させるなどの成果も得ていることから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、2019年度の実績と成果を基に、アメリカおよびヨーロッパにおける公共的放送番組アーカイブに関する調査結果について、日欧米の国際比較分析を進め、補完的調査を実施した上で、調査結果のとりまとめと総合分析をおこない、論文あるいは専門学術書などの成果発表をする方針である。
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Causes of Carryover |
[次年度使用額が生じた理由]調査の効率化により、訪問調査をアメリカおよびヨーロッパについて、単年度ごとに実施したことによる。 [次年度使用額の使用計画]研究結果最終分析および総括のための補完調査などに使用する。
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Research Products
(1 results)