2021 Fiscal Year Research-status Report
放送番組アーカイブの日欧米比較──戦争資料映像の構成と国際展開を基軸として
Project/Area Number |
18K18327
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
辻 泰明 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30767421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戦争映像 / 放送番組 / 国際展開 / 映像アーカイブ / インターネット動画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二次世界大戦前後の時期における戦争に関する映像資料の構成と展開を基軸として、日欧米の公共的放送番組アーカイブを調査し、これまでおこなわれていなかった国際比較の観点にたって、それぞれの特性を解明することである。当初3か年計画を1年延長した2021年度は、前年度に引き続き、これまでのアメリカの放送番組アーカイブ(NAVCC 国立視聴覚資料保存センターやNARA II 国立公文書館の映像部門など)、フランスの放送番組アーカイブ(INA国立視聴覚研究所など)における調査結果に基づいて考察を続けた。 考察にあたっては、これまでの訪問調査やインタビューの結果およびデータベースにおけるコンテンツ収蔵の構造と戦争映像コンテンツ展開に関するデータの整理結果を参照し、日欧米各国の公共的放送番組アーカイブの比較分析を基盤とした。 また、日欧米の公共的放送番組アーカイブをコンテンツ展開の観点からも比較しつつ、考察を進めた。 その結果、欧米には、日本には存在しない専門職映像アーキビストが存在し、インターネット配信を主とする次世代メディア環境下での映像資料の組織化と国際展開にあたって中核的な機能を果たしていること、そのことが、インターネットにおける映像コンテンツの展開においても、20世紀末から今日にいたるまで、欧米と日本との相違を生じさせる一因となっているという知見を得た。 これらの調査および分析の過程で明らかになった結果を学術的にまとめ、その一部を、2022年に発行した図書『平成期放送メディア論 ──テレビからインターネットへの転換はどのように進んだのか』および学術論文『動画の特性と社会』に反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の3か年計画を1年延長した2021年度は、新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックが終息しないことから、海外での実地訪問による調査を実施することができなかった。そのため、これまでの調査結果に関する取りまとめを続行し、可能な限りの分析と考察を行った。その結果を、2022年度に発行した図書や学術論文に反映させるなどの成果を得てはいるが、前述した新型コロナウィルスのパンデミックによって海外調査が阻害されているため、最終取りまとめにまでは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、アメリカおよびヨーロッパにおける公共的放送番組アーカイブに関する調査結果など、2021年度までの実績と成果を基に、日欧米の国際比較分析を進め、必要に応じ補完的調査を実施した上で、調査結果の最終的な取りまとめと総合分析をおこなう方針である。
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Causes of Carryover |
<次年度使用額が生じた理由>新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックにより、やむをえず、研究の一部を順延した結果、補完的調査や設備購入を次年度に繰り越したことによる。
<次年度使用額の使用計画>補完的調査および研究結果整理用設備の購入に充当する。
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Research Products
(2 results)