2018 Fiscal Year Research-status Report
漢籍利用者の研究行動の解明と利用者タスクに基づく目録作成・評価枠組みの開発
Project/Area Number |
18K18329
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 麻衣子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (30814024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 漢籍 / 利用行動 / 書誌データ / 目録規則 / 利用者タスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,1)特定の資料群,具体的には漢籍の研究者を対象としたインタビュー調査と質的分析により,漢籍利用者の研究行動を明らかにすること,2)漢籍利用者の研究行動から漢籍利用者の利用者タスクを明らかにすることを通じて,特定の資料群の利用者タスク解明手法を開発すること,3)図書館のコンピュータ目録や,デジタルアーカイブにおける漢籍の書誌データに必要なデータ要素を,利用者タスクと対応づけて明らかにし,同時に利用者タスクを用いて,既存の書誌データを評価する枠組みを開発することである。 初年度にあたる2018年度は,1)国内外6名の漢籍利用者(研究者)に対するインタビュー調査およびインタビューデータの質的分析を行い,漢籍利用者の研究行動を部分的に明らかにした。2)上記1)の分析を通じて,インタビュー結果から漢籍利用者の研究行動を理解するための手法の検討を行った。3)国内で構築されている漢籍デジタルアーカイブにおいて記録されている書誌データ,日本の冊子体漢籍目録やカード目録に記録されている漢籍書誌記述のなかの各項目,中華人民共和国にて実施されている古籍センサスで採用されている書誌データ要素を抽出し,比較検討を行った。 1)については,次年度以降も引き続き調査を継続する。その分析を通じて,2)インタビュー手法や分析手法の改善を図るとともに,利用行動全体から,特に漢籍の書誌データを利用する際の利用者タスクを特定する予定である。さらに,3)2018年度に抽出した書誌データ要素を活用しつつ,中国,台湾,米国等の漢籍を扱うための目録規則や標準類から書誌データ要素を抽出する作業を続け,最終的には書誌データ要素と利用者タスクを関連づけて示す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始時期に所属機関の変更があったことを主な要因として,1年目に国内研究者へのインタビュー調査を終えるという当初の予定を達成することができなかった。しかしながら,国内研究者5名,海外研究者1名へのインタビュー調査および分析を実施し,調査・分析方法や結果の提示方法に一定の目途をつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)引き続きインタビュー調査と分析を進める。2018年度のインタビュー調査の結果,国内の漢籍利用者にさまざまなパターンの研究行動が見られ,研究者の専門分野や年代によりさらなる研究行動の違いが観察されると予想されることから,2019年度も充分な調査対象者数を確保できるまでは国内研究者へのインタビュー調査を継続する。 2)同時に,海外の漢籍利用者へのインタビューを,遅くとも来年度中には実施できるよう調整を図る。 3)中国,台湾,北米の漢籍整理に関する標準類を整理し,漢籍書誌データに記録されうるデータ要素の抽出を2019年度中に完了する予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度より所属機関が変更となったため研究環境が変わり,当初初年度に支出予定の金額より多くの物品費を支出し,必要な図書やソフトウェアをそろえた。一方で,2018年度にインタビュー調査を実施できた件数が予定よりも少なかったため,謝金や交通費の支出が予定よりも少なくなり若干の次年度使用額が生じた。未使用分は2019年度中にインタビュー謝金として支出する予定である。
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