2018 Fiscal Year Research-status Report
地方公文書館を取り巻く基金助成と財源確保に関する研究
| Project/Area Number |
18K18332
|
|---|
| Research Institution | Kyoto University |
|---|
Principal Investigator |
元 ナミ 京都大学, 大学文書館, 特定助教 (10783920)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 地方公文書館 / アーカイブズ / 州立公文書館 / NHPRC / 基金 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地方自治体が執行する予算以外に地方公文書館において利活用できる基金助成と財源確保の可能性を検討するために、国内外の地方自治体における公文書館関係基金助成の内容と運用方法を調べ、日本にとって参考となる取り組みを考察することが目的である。
2018年度は国内の地方公文書館とアメリカの州立公文書館において公文書館の運営と活動、基金・助成金・寄付金等の運用状況について聞き取り調査を行った。国内では山口県・岡山県・秋田県の県立公文書館を訪問調査した。公文書館の建設（建物の整備）、維持管理、運営等に民間資金を活用するためにPFI手法を導入した岡山県を含め、人件費や運営費、活動費等に外部資金が導入される事例はほとんどなかった。
アメリカの場合、イリノイ州・ニューヨーク州・アラバマ州・ジョージア州の州立公文書館（State Archives）における現地調査で、主に国立公文書館（National Archives and Records Administration）・国家歴史出版記録委員会（National Historical Publications & Records Commission）が交付する基金申請の近年の申請・交付動向について聞き取りを行った。NHPRC基金は主に州立公文書館と州内のコミュニティのような比較的に小規模アーカイブズ間の協業プロジェクトに支援されることが多かった。また、様々な事業に柔軟に活用できる外部資金の一つとして個人・企業からの寄付金を受け入れられていることがわかった。
この他、これらの先行研究をまとめ学会において1回報告し、1本の研究ノートを投稿した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は計画通り、国内の地方公文書館とアメリカの州立公文書館で実地調査を行った。特にアメリカの州立公文書館に関する先行研究が少ない中、ニューヨーク州以外は日本のアーカイブズ学の研究者がほとんど調査したことがない調査先だった。さらに、各州の州立公文書館長及びアーキビストたちとの交流を深めることができた。
研究の実績としては、先行研究をまとめて記録管理学会で報告し（2018年5月）、アメリカのNHPRC基金の活用状況を文献とウェブで調査した結果を『京都大学大学文書館研究紀要』に投稿した(2019年3月掲載)。アメリカの聞き取り調査が年度末に行われたため、現地調査から得た成果を年度内に公表することはできなかったが、その成果については、2019年4月のアーカイブズ学会にて報告を行う予定である。
|
| Strategy for Future Research Activity |
2019年度は計画通り、国内の公文書館が未設置の自治体に公文書館未設置の理由と今後の設置計画についてヒアリング調査を行う予定である。またイギリスの州立公文書館における文化遺産宝くじ基金（National Lottery Heritage Fund）の運用状況を調査する計画をしている。
2019年度後半までにこれまでの調査結果を踏まえて、その成果を今年度内に学会誌や大学紀要へ投稿する。
|
