2019 Fiscal Year Research-status Report
児童書出版者のハビトゥス:児童書を取り巻く他業種との比較から
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18K18334
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
片山 ふみ 聖徳大学, 文学部, 准教授 (80507864)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 絵本 / 行為論 / 選書論 / ハビトゥス / ライフストーリー / 司書 / 保育士 / 出版者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、出版者を中心に児童書を取り巻く大人たちの軸足の違いや共通性を多層的に把握しながら、彼らのハビトゥス(思考、価値観、行動様式など)を明らかにすることによって、広い意味での子どもの読書環境や児童書の選書過程を把握することを目的としている。昨年度、再設計した研究計画に基づき、2019年度の研究を実施した。 2019年度の研究実績は①インタビュー調査による調査対象者の主観に基づくハビトゥスの研究、②客観的資料の内容分析に基づくハビトゥスの形成過程の研究、③研究成果の報告である。なお、今年度の助成金は、主にインタビュー調査のテープおこしおよび昨年度の海外調査時の英語音源の翻訳にあてている。 以下に、研究実績①~③の詳細を説明する。 ①インタビュー調査による調査対象者の主観に基づくハビトゥスの研究:国内の特定地域を対象に、図書館司書、保育士、幼稚園教諭、子育て支援センター職員の絵本に対する慣習性について事例調査を実施した。 ②客観的資料の内容分析に基づくハビトゥスの形成過程の研究:図書館司書の絵本に対する価値観の形成過程を把握する目的で、養成課程の必修科目である児童サービス論で使用される教科書の内容分析を実施した。 ③研究成果の報告:①については、図書館司書の調査結果について口頭による研究発表と論文投稿を行った。②については、口頭による研究発表と、論文投稿を行った。また、本研究全体にかかわる概要についての講演、本研究成果の一部を反映した教科書執筆なども行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】で述べた通り、調査が順調に進み、口頭、論文での研究成果の発表を一定数実施できたことによる。しかし、2018年度に実施したカナダにおける調査についての成果報告がまだ実施できていないことについて課題が残る。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の本研究の今後の推進方策として、以下の通り研究を進める予定である。 1.2018年度に実施したカナダにおける調査について、日本とカナダの状況を比較し、日本と英語圏における子どもの読書環境の相違点や共通点を考察し研究論文として発表する。 2.2019年度に実施した事例調査について、保育士、幼稚園教諭、子育て支援センター職員の調査結果を研究論文として発表する。 3.2019年度に調査できなかった書店員、学校司書、司書教諭、ボランティア、出版者への調査の実施。 4.量的調査に向けた調査設計。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、追加調査のために予定していた出張が一切できなかったことが次年度使用額が生じた主たる理由である。次年度は、予定していた追加調査の交通費および、実施した調査のテープおこし業者委託費などにあてる。
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Remarks |
片山ふみ「これからの図書館の役割:少子高齢化の状況のなかで」令和元年度千葉県公共図書館協会第2ブロック研修会、2020年、招待講演 石川綾菜、上田恵菜、菊地佐和子、小林璃子、里内多美恵、永田詩乃、樋口紗季、星川沙羅、村田さや、吉本理乃、片山ふみ、村山隆雄「伝承されやすい日本昔話と伝承されにくい日本昔話の傾向:女子大生への調査から」第21回図書館総合展 ポスターセッション 2019年(優秀賞受賞)
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