2018 Fiscal Year Research-status Report
「締め付け機」を用いた身体的自己への体験型アプローチ
Project/Area Number |
18K18346
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
箕浦 舞 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (10801269)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知科学 / 行動学 / 心理学 / 身体的自己意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請時の計画(実験器具の作成、実験の実行および成果発表)を達成した。当初の目標通り、定型者における「締め付け機」による身体的自己の変容を行動学実験的に明らかにし、以下の合計3件の成果発表を行った。 <学会発表> 2件:計画通り 1. "Experience type approach to bodily self-consciousness with the Squeeze Machine”, ICPS2019, Paris, Mar. 2019, M Minoura, I Tani, T Ishii, YP Gunji 2. 「締め付け機」を用いた身体とマインドフルネスの連関についての実験的アプローチ, 日本心理学会第82回大会 公募シンポジウム「マインドフルネスの新しい地平を拓く」, 仙台, 2018年9月, 箕浦舞, 谷伊織, 石井孝弘, 郡司幸夫 <査読付き論文> 1件:計画前倒し 1. Observing the Transformation of Bodily Self-consciousness in the Squeeze-machine Experiment. J. Vis. Exp. (145), e59263, doi:10.3791/59263, Mar. 2019, M Minoura, I Tani, T Ishii, YP Gunji(2019年4月16日現在の閲覧回数:664)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画上、H30年度は器具の作製、予備実験の実施と学会発表としていたが、それに加え、H31年度計画分の一部の実験および学術論文発表を達成したため。 本研究の目的は「締め付け機」を使って身体的自己意識の変容を呼び起こし、それを通して物理的な作用点としての身体と精神的な基盤となる自己意識の関係性を観察することである。当初、H30年度はこの研究に必要な「締め付け機」を自作すること、またオリジナルの図面からの改良を加えその性能を確かめるという予備実験、および、認知行動学実験の有効性を発表するまでを予定していた。それらを達成した上で、締め付け機体験前後の身体的自己の変容を捉える実験("peri-personal space"を測定)を行い、その成果をビデオジャーナルに発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
「締め付け機」において、使用者は全身を「締める」「締められる」が両立する状況を体験する。それを通し、"peri-personal space"(表象としての身体マップに含まれる、身体の近接空間)の境界の消失が、H30年度での実験で示された。このことは、締め(能動)締められる(受動)の間の身体の表象は、単なる質点としてではなく、厚みのある、隙間や外部を取り込み可能なものとして再構成されたことが考えられる。 H31年度はこの点に着目し、さらなる実験と成果発表を行う。具体的には、機器の制御に変化を加えることにより、体験時における受動・能動性を変化させ、その反応を収集する。
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Causes of Carryover |
引き続き実験、学会発表、学術誌発表を計画中であるため
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