2018 Fiscal Year Research-status Report
パルス電磁界を用いた体内小型医療デバイスの高精度位置推定システムに関する研究
Project/Area Number |
18K18376
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
チャカロタイ ジェドヴィスノプ 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁環境研究室, 研究員 (30626883)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 広帯域パルス電磁界 / 位置推定 / 電磁界解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、物質の広帯域な分散特性を考慮できる時間領域有限差分法のアルゴリズムを新たに開発した。これまでの開発した手法では、アンテナを含めた解析において電束密度及び電界の境界条件を設定することが必要であるため、給電点での処理が困難であった。一方で、本研究において新たに提案した時間領域有限差分法では、境界条件は電界のみ与えればよいため、アンテナを含めた数値シミュレーションが容易に行うことができ、本研究における人体近傍アンテナ設計を行うことができる。10 MHz~4 GHzの周波数範囲において、提案手法を用いて、ファントム近傍の広帯域アンテナを計算するために要する時間は、約283秒であった。これに対して、従来の手法では、一点の周波数で解析を行うために要する時間は279秒であった。従って、広帯域の周波数範囲で解を求める必要がある場合、本提案手法は従来の手法と比べても計算効率の観点から、数十~数百倍以上の計算速度を向上することができた。 次に、提案手法を用いて、人体近傍の広帯域アンテナの数値シミュレーションを行った。アンテナは広帯域特性を有する自己補対型アンテナを選択し、均一人体ファントム近傍にアンテナを配置したときの反射係数を数値シミュレーションした。数値シミュレーションを行った結果、300 MHz~3 GHzの周波数範囲において、所望のVSWR < 2の反射特性を実現できた。また不均一人体近傍に設計した広帯域アンテナを配置したときの反射特性の変化を調べた。人体腹部においてアンテナを置いた場合でもほぼ所望の特性が得られることが分かった。実際に広帯域アンテナを製作して人体近傍におけるアンテナの反射特性を評価し、設計目標を達成できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、媒質の分散特性を考慮できる電磁界解析アルゴリズムを新たに考案し、初年度の目的である体内小型医療デバイスの位置推定を行うための人体近傍広帯域アンテナを製作し、基本的な特性が確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の予定通り、広帯域パルス電磁界を用いた新たな位置推定アルゴリズムに関する研究を遂行する。また、高い周波数帯における位置推定用体内デバイスに取り付けるアンテナの開発設計を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:物品購入費及び旅費の負担が予想を下回ったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額が生じた使用計画:新しい計算アルゴリズムについての本年度執筆した論文が採択されているため、次年度での論文掲載料の支払いのために充当する予定である。
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