2018 Fiscal Year Research-status Report
Wearable sensors without skin-contact inspired by a nail tip: Demonstration experiment in daily life environment
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18K18410
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
石井 耕平 香川高等専門学校, 機械電子工学科, 講師 (40710653)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 付け爪 / ウェアラブルセンサ / 遠隔モニタリング / 脈波 / 生体計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピエゾフィルムを用いたゼロパワーセンシングと多点同時計測による脈波の抽出方法を確立し、付け爪型心拍センサによる生活環境下での無拘束連続計測の有効性を実証することが本研究の目的である。 ピエゾフィルムによるゼロパワーセンシングについては、末梢血管が心臓の拍動に伴い、微小な拡張、収縮を繰り返している点に着目した。この現象に起因して、爪も極めて微小ではあるが、周期的変形を繰り返している。ピエゾフィルムは変形により電圧を生じる性質を有しており、心臓由来の微小な爪の変形が、ピエゾフィルムに微小な電圧を生じさることが出来る。このアプローチにより電力を供給することなく脈波を計測することが出来るのではないかと考えた。本研究期間内にてピエゾフィルムの種類、形状を検討し、安定した脈波計測の基本技術を検討した。 多点同時計測による脈波の抽出については、生活環境下において手で物をつかむ動作や運動による衝撃は末梢血管を圧迫、開放することになる。これは心臓由来ではない末梢血管の拡張収縮をもたらし、外乱として常に脈波に重畳されている。この影響を検討するため、本研究期間内には、手や足の異なる爪にセンサを取り付け、多点同時計測を行い、それぞれの爪から得られた信号を比較した。将来的にはジョギングにより足の爪からの信号が安定しない場合、手の爪からの信号に切り替えることでモニタリングの継続を可能とするなど、システムの冗長性を確保することで安定した脈波計測を目指す。また、多点計測のデータから脈波伝搬速度の算出を行った。将来的には血圧推定への展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度はゼロパワーセンシングおよび多点同時計測についての技術開発を研究の中心とした。ゼロパワーセンシングについては、爪に貼り付けるピエゾフィルムの種類、大きさについて検討した。計測時の増幅については、少ない増幅率もしくは増幅回路を用いずに計測できることが明らかとなった。また市販の脈波計や心電図との比較から得られた脈波の妥当性が確認された。これらの成果を踏まえ、特許出願を行った。多点同時計測については手と足の爪に取り付けた複数のセンサを計測装置に接続し信号を取得した。その結果、立位、座位、仰臥位では、脈波の振幅が異なることが分かった。歩行時には、歩行に同期した外乱が顕著であった。手と足の脈波の極大値の比較から、脈波伝搬時間を算出することが出来た。また、無線通信回路を試作し、計測回路、小型電池と接続し、約6日間にわたり心拍数を送信可能である事が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
H31年度については、ピエゾフィルムを用いたゼロパワーセンシングに関する技術開発として、ピエゾフィルムの厚さを変えた場合の出力信号変化、ピエゾフィルムの爪への接着方法について検討する。多点計測に関しては、生活環境下にて複数の爪にセンサを取り付けての24時間計測を実施する。H30年度に導入したデータロガーに加速度計が内蔵されていることから、加速度(体動の強さ)と取得した脈波に重畳されるアーティファクトの強さについて検討する。単一センサでの実験では、1週間の生活環境下での計測実験を目標とする。これにより付け爪型心拍センサによる無拘束連続計測の有効性・実現可能性についての実証実験を行う。具体的には1次プロトタイプとして、計測回路、無線回路、電池を搭載した付け爪サイズのデバイスを実現する。このデバイスは、1週間の実験期間を想定したプロトタイプとし、生活環境下での計測実験を実施する。
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Causes of Carryover |
H30年度にピエゾフィルムの接着方法の検討を行う計画であった事から、そのための評価装置の導入を予定していた。しかしながら、接着方法の検討をH31年度に変更したため、次年度使用額が生じた。よって、H31年度に実施するピエゾフィルムの接着強度の評価の際に必要な、剥離評価装置に対して次年度使用額を使用する見込みである。
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Research Products
(6 results)