2020 Fiscal Year Research-status Report
中性脂肪蓄積心筋血管症における心筋脂肪酸代謝(I-123 BMIPP)の評価法
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18K18414
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神谷 貴史 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (80550764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中性脂肪蓄積心筋血管症 / 心筋脂肪酸代謝シンチ / 洗い出し率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はI-123 BMIPPを使用した心筋脂肪酸代謝シンチにおいて中性脂肪蓄積心筋血管症の診断に用いられている早期像と後期像の収集時間差における洗い出し率を算出する精度を評価することである。 昨年度まで本研究では中性脂肪蓄積心筋血管症における心筋脂肪酸代謝シンチを模擬したファントム実験を行い、塩化タリウムTl-201 TlClとの二核種種同時収集においてはI-123 BMIPPの洗い出し率が亢進する結果を得た。しかしながら、その亢進程度は比較的軽度であるため二核種同種収集において、中性脂肪蓄積心筋血管症症例の検査で洗い出し率が10%を下回る場合は診断として問題ない。一方、10%近傍の症例では二核種同時収集におけるクロストークによる影響による誤差であることから、単核種で収集することにより診断が変わる可能性を示した。この結果の一部は厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業の成果報告2020年度版に記載されている内容と同様である。 現在、多くの施設での心筋脂肪酸代謝シンチはI-123 BMIPPとTl-201 TlClの二核種同時収集が行われており、また、早期像のみで診断している施設が多いである。このため、多くの施設では後期像収集を行っておらず、後期像が算出することができない。洗い出し率の値がないため、中性脂肪蓄積心筋血管症の拾い上げが遅れている可能性が考えられる。 研究実績の公表に併せて、中性脂肪蓄積心筋血管症の疾患概念、診断方法ならびにその際に留意するべき収集方法、解析方法に関して、他施設への情報提供並びに診断の標準化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はヨウ化ナトリウム(NaI)シンチレータを用いたAnger型シンチカメラにて研究を行ってきた。一方、近年、テルル化カドミウム(CdZnTe:CZT)半導体を用いたSPECT装置、SPECT/CT装置が複数の企業から販売されている。循環器核医学領域を中心に半導体SPECT装置の普及が徐々に進んでおり、心筋血流SPECT検査、心筋脂肪酸代謝SPECT検査を多数行っている施設においては半導体SPECT/CT装置の導入が今後も進んでいくと考えられる。今後の本研究において、半導体SPECT/CT装置における二核種同時収集の際のクロストークの影響が従来のAnger型シンチカメラと比較してどの程度であるのかを重要な課題であると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度にテルル化カドミウム(CdZnTe:CZT)半導体を用いたSPECT/CT装置の導入が予定されており、昨年度までに蓄積した結果と同様の実験を行うことにより従来のヨウ化ナトリウム(NaI)シンチレータを用いたAnger型シンチカメラとの結果に関して比較を行う。各装置による診断精度の結果に関して学会等で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
現在の社会情勢により、学会参加による旅費がほとんど発生しなくなったため。
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