2018 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤の治療効果の再評価:RMSTを指標としたメタアナリシス
Project/Area Number |
18K18416
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
金子 真之 北里大学, 薬学部, 助教 (90725326)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | メタアナリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、がん領域において、従来の指標(ハザード比、リスク比等)を用いたメタアナリシスによって抗がん剤の治療効果を評価している文献の中で、結果が臨床現場に与える影響が大きいと想定される論文の特定を目的として、研究を実施した。電子データベース(MEDLINE, Embase, Cochrane Central Register of Controlled Trials等)を用いて、がんの種類や抗がん剤の作用機序等、様々な角度から検索を行った結果、候補となる論文がいくつか得られた。 本研究の最終的な目的は、臨床的解釈がしやすく、モデルに依存しないという有用性を持つrestricted mean survival time(RMST)を指標としたメタアナリシスを実施し、これまでに従来の指標を用いたメタアナリシスにより導き出された抗がん剤の治療効果を再評価すること、また、新たな臨床的知見を生み出すことである。RMSTを指標としたメタアナリシスを実施するには、time-to-eventをアウトカムとした個々の臨床試験におけるRMSTの結果が必要となるが、RMSTの結果を報告している臨床試験は現時点では稀である。また、RMSTの算出には患者個人のデータが必要となるが、メタアナリシスの対象となった全臨床試験の個人データを取得するのは現実的には困難である。 そのため本研究では、公表されている情報からtime-to-eventに関する個人データを再構築する、というステップを加え、再構築した個人データを用いて各試験におけるRMSTの算出を行う。個人データの再構築に必要な情報を収集するためには、メタアナリシスの対象となった論文だけでなく、その周辺情報の調査も必要となることがある。現在、候補とした論文においてメタアナリシスの対象となった個々の臨床試験とその周辺情報に関する調査を実施中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん領域において、従来の指標を用いたメタアナリシスによって抗がん剤の治療効果を評価している文献の中で、結果が臨床現場に与える影響が大きいと想定される論文の特定を目的として、電子データベースを用いた論文の検索を行った。がんの種類や抗がん剤の作用機序等、様々な角度から検索を行った結果、候補となる論文がいくつか得られた。現在、個人データの再構築に必要な情報の収集を目的として、候補とした論文においてメタアナリシスの対象となった個々の臨床試験とその周辺情報に関する調査を実施中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
治療効果の再評価の意義と研究の実施可能性の両面から最終的な研究対象の絞り込みを行い、RMSTを指標としたメタアナリシスを実施する。本研究で評価指標とするRMSTの臨床学的・統計学的有用性については、ここ最近になって各疾患領域の研究者や臨床医に広がりつつあるのが現状であるため、RMSTを用いた評価を実施している研究の調査も幅広く行い、今後研究を実施する上での参考としていく。また、本研究において抗がん剤の治療効果の再評価を行う意義を考える上で、がん領域における医療環境の最新の動向についても調査を続けていく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、本年度で予定していた「旅費」、「その他」の支出がなかったことがあげられる。次年度使用額については、翌年度の「物品費」、「旅費」として使用する予定である。
|