2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症者に対するWeighted Blanketの使用効果に関する研究
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18K18430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 美緒 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任研究員 (70756543)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 福祉用具 / 開発 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、認知症で睡眠障害を呈している者に対して実証試験を行い、効果の指標としてウェイティッドブランケット(以下、WB)の環境との整合性や安全性、ユーザビリティ(有効性、効率、満足度)を明らかにすことを目的としている。 平成30年度は、実証試験の実施体制を構築し、環境との整合性や認知症者に対する使用の安全性を確認するための短期的な実証試験を実施した。 実証試験実施体制を構築するために、まず、短期実証試験のプロトコルを立案し、倫理審査員会に申請して承認を受けた。倫理審査申請と同時に被験者リクルートを開始した。しかし、睡眠に関する問題を専門職が認識できておらず、リクルートに難航した。現在までに10名の被験者を対象に短期の実証評価を実施した。その結果、認知症者では、特に3つの症状のものが、WBの使用によって改善症状を示した。1事例は、昼夜逆転の症状があるものに対して、夜間の睡眠時に使用したところ、睡眠状況が改善し、数か月後には昼夜逆転症状が軽減した。2事例目は、自宅から施設入所により不安症状が増大したものに対して、日中座位時のひざ掛けとして、また夜間の睡眠時に使用したところ、不安症状が軽減し、日中の行動に変化がみられた。3事例目はゲーゲンハルテンによって筋緊張が亢進したものである。筋緊張亢進症状の緩和に、車いす乗車時、ひざ掛けタイプのWBを被験者の下半身にかけた。結果、普段は専門職の介助にて下肢の緊張を落として可動域を伸張させてのだが、膝かけをかけるだけで自然と下肢の緊張が緩和し、介助者の負担が軽減していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属先の変更に伴い、当初計画していた評価フィールドが使用できず、新たなフィールドを探すのに時間がかかってしまった。そのため、評価開始時期が遅れた。また体調不良により経過通りに実施することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、短期評価にてWBの環境との整合性と安全性を確認後、長期実証試験にてユーザビリティを検証する。ユーザビリティには有効性、効率、満足度が含まれる(ISO9241-11,1998)。有効性については、期間中の使用日数や周辺症状の出現回数について記述式の調査用紙を作成し、聴取する。効率については、短期実証試験で使用した「眠りSCAN」にて睡眠時間を測定する。満足度については、System Usability Scale(以下、SUS)を用いる。SUSは1986年にJohn Brookが開発した10項目の質問紙であり、2013年までに1200件を超える論文で使用されている(Brook, 2013)。これらのデータをWBの介入前後で比較し、機器の使用効果について検証する。実施期間は、介入前4週間、介入後4週間の合計8週間とする。被験者数は、短期評価と同様に30名を予定している。
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