2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症者に対するWeighted Blanketの使用効果に関する研究
Project/Area Number |
18K18430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 美緒 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任研究員 (70756543)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 福祉用具 / 開発 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、施設に入所している認知症高齢者13名を対象に布団タイプのWBの長期実証評価を行った。そのうち6名においては、睡眠時間の増加や日中の活動性向上、落ち着きといった効果がみられた。7名においては、使用中の退所や風邪などの疾患による中断などで使用が途中で中断した。また、家族の同意が得られずWB導入に至らなかった者も存在した。使用者の中でとっくに効果のあった者の事例では、重度の認知症者にWBを5か月間導入したところ、睡眠計による睡眠状況と日々の行動記録から効果を検証した。また、昼夜逆転症状が改善し、要介護度が5から3に向上した。また、介護者の負担感も減少した。夜間に中途覚醒してしまう認知症者にWBを導入したところ、中途覚醒回数が減少し、睡眠時間も向上した。これら事例により、重度認知症者のWBによる睡眠支援は非薬物療法の一端を担う可能性が示された。 布団タイプだけでなく、専門職からの要望によってひざ掛けタイプのWBを開発し、予備的検証を行った。日中歩き回り落ち着かいない認知症者や、入所後間もない時期に起こるリロケーションダメージによるBPSDの出現した者などにひざ掛けの介入を試みた。その結果、ひざ掛けを好んで使用し落ち着く者が存在した。ひざ掛けの効果が見られなかった者においては、掛けて座るもひざ掛け自体を好まず、他者に掛ける、またはすぐ立ち上がって歩き出すなどの行動がみられた。最も効果の現れたものは、筋緊張の亢進した寝たきりの高齢者であった。ひざ掛けの導入によって緊張がゆるみ、関節可動域が改善するという現象が4名中3名にみられた。このひざ掛けタイプの予備実験の結果を基に、今後新たな研究計画を立てていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
WBの使用者は想定より少なく、実験の被験者募集が進まなかった。そのため、実験期間が延長してしまい、十分なデータ分析並びに成果発表が不十分であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度の実験結果を基に、学会発表並びに論文投稿を行っていく。様々な観点からデータ分析を行い、さらなる研究課題の抽出を行っていく。ひざ掛けタイプのWBに関しては、予備的な検証を行ったところ、筋緊張の亢進した寝たきりの高齢者において、緊張がゆるみ、関節可動域が改善するという現象がみられた。今後、これら筋緊張の亢進した高齢者を対象に新たな研究計画を立てていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度、被験者募集が進まず実験期間が延長したため、十分なデータ分析並びに論文作成ができなかった。よって今年度は、様々な角度からのデータの詳細分析並びに論文作成、学会発表を進めていく。
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