2018 Fiscal Year Research-status Report
地域協働情報プラットフォームの構築と評価、資源余剰の最適割付けと社会合理的分配
Project/Area Number |
18K18433
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
有馬 澄佳 筑波大学, システム情報系, 講師 (60400644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁野 麻衣子 筑波大学, システム情報系, 教授 (40272687)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 地域協働情報プラットフォーム / IoT標準 / 労働資源稼働の可視化 / ビッグデータ解析 / 余剰資源の最適分配 / 市民の自立性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本の地域社会を対象として、民間と行政の事業活動の測定・評価・改善を推進する「地域協働情報プラットフォーム」の構築と効果検証を目的として、地域の生産主体と、サービス/生活主体の2つの側面から議論・検証している。具体的には、第一に、生産主体に対しては、企業等の経営資源の稼働に関わる情報を地域単位で集約する仕組みの構築を目指している。また、第二に、地域のサービス/生活主体に対しては、地域社会課題を収集し迅速対応を可能にする支援手法を目指している。2018年度成果として、第一に、信頼性と汎用性の高いセンサーデータの自動収集機構の構築、および、複数種リソースの同時割付け最適化解法を研究した。データの自動収集機構では、あらゆる企業に対応する汎用性を求め、デジタル・アナログ複装で高速データ収録できるIoT標準装置を実現した。また、従来手法では現実できていなかった複数種リソースの同時割付け最適化問題について、高い最適性と高速計算を両立する解法を構築し、実際の多品種受注・見込み混合生産を行う複雑・大規模な量産モデル(国内大企業)に対して検証した。生産主体の多様性を鑑み、受注生産単体や見込み生産単体にも利用できる汎用性を有する。 また、第二に、市民窓口手続きに関わる問合せへの適切な応答を可能にするチャットボット・システムを開発し、2つの実証実験を通して、①市役所業務における効果と、②市民の自己解決の効果・効率化の程度を定量的に検証した。①では、人事異動が多く常に新人が混在しがちな業務環境において、対応の属人性を低下し得る効果が確認され、また、②では、市民の手続き準備における自立性・正確性が有意に向上する効果が認められ、問合せ自体を低減し得る可能性も示唆された。ここで、非日本国籍の住民における効果はより高く、今後の日本社会の人材の多様化やグローバル化に適合する手段として有望と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・2018年度予定した内容は、全て実施した。 1)信頼性と汎用性の高いセンサーデータの自動収集機構の構築、および、複数種リソースの同時割付け最適化解法を研究した。データの自動収集機構では、あらゆる企業に対応する汎用性を求め、デジタル・アナログ複装で高速データ収録できるIoT標準装置を実現した。 2)従来手法では現実できていなかった複数種リソースの同時割付け最適化問題について、高い最適性と高速計算を両立する解法を構築し、実際の多品種受注・見込み混合生産を行う複雑・大規模な量産モデル(国内大企業)に対して検証した。 以上に関する研究成果は、査読付き国際会議論文として発表済みである(2018年度中)。 3)市民窓口手続きに関わる問合せへの適切な応答を可能にするチャットボット・システムを開発し、2つの実証実験を通して、①市役所業務における効果と、②市民の自己解決の効果・効率化の程度を定量的に検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、予定した研究内容は、確実に実施していく。加えて、①②両面で発展的な研究開発に努める方針とする。 ①当初計画で、サービス/生活主体の側面では、多様な社会課題やサービスニーズを広範かつ大規模に収集する予定であったが、日常的にデータ入力いただくための動機付けや、無意味なデータが大量に蓄積されうる点に課題がある。そのため、本研究の残り期間では、対象とする社会課題やサービスニーズを絞り、適切な対象に適時にデータ入力頂くよう動機づけ、また、データ収集のための実験場を設営し、確実かつ正確なデータ収集を実現していく。これについて、筑波大学発ベンチャーや地域の事業体の協力含め、具体的な相談を始めている。その中で、地域の遊休地等の活用で、マイナスの付加価値をプラスに転化する社会課題解決型のビジネスモデルの実線事例に触れ、人的資源にフォーカスした本研究に対し、研究対象「資源」の範囲の拡大余地があることがわかってきた。本研究でも、付加価値の転化に着目した有効事例をとりこみ、より広い視座で挑戦的に議論するべく研究を加える。 ②当初計画では、生産主体として、茨城県の工業団地数十社に対する情報集約の実証を主眼に、ローカル環境でのシステム提供・効果検証を想定していた。しかし、その後の調査で、実に多くの企業で工数稼働の可視化と最適化の課題が共通することから、可視化・最適化の仕組みの実装形態をWebサービス化し、クラウド環境で中小企業が簡単に使えるよう工夫を加える必要が生じている。予算の範囲内に制約されるが、工夫し、より多様な生産主体の利用と、集約データの充実に向かう。 ①での対象の絞り込みと対象資源の拡大を経て、②でも、余剰工数に加えて余暇も含む時間利用の課題設定へと広がる。検討の項目と多様性が増すが、専門家の助言も受け、公共性と公益性の高い成果を追求していく。
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Causes of Carryover |
研究分担者が、未使用であったため。 使用計画:2019年度にまとめて使う予定。
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Research Products
(10 results)