2018 Fiscal Year Research-status Report
新たな嗅覚検査装置を用いた認知症早期スクリーニング法の開発
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18K18443
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新井 哲明 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90291145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40344890)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 認知機能障害 / 早期診断 / 嗅覚 / 糖尿病 / 抑うつ / バランス / 運動機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,認知症の早期スクリーニングに有効な嗅覚検査装置を開発・実用化し,認知症の早期診断・早期治療を可能にし,高齢者のwell-beingの実現に寄与することである. 今年度は、まず認知症のリスク状態である糖尿病についての検討を重点的に行った. 方法は、中年期の 非糖尿病者群81名,糖尿病者群44名に対し嗅覚機能と認知機能,運動機能,血液検査を調査し,相互の関連性から認知症の予測因子を検討した.実施した検査は嗅覚同定検査(Open Essence),Instruction manual of Japanese version of Montreal Cognitive Assessment ,Trail Making Test,Wisconsin Card Sorting Test ,やる気スコア,簡易抑うつ症状尺度,膝伸展筋力検査,バランス検査の片脚立位時間,姿勢安定度評価指標(IPS),修正IPS(mIPS),Time up go testであり、これらの結果を2群間で比較した。その結果、中年期糖尿病者群は非糖尿病者群に比較して記憶力の低下だけでなく,注意機能および実行機能の低下,抑うつ,やる気障害などが認められ、前頭葉機能が低下している可能性が示唆された.mIPSによるバランス機能低下はDMの有無と独立した認知機能低下のリスク因子であり,認知症の早期発見のマーカーになる可能性があると考えられた. 嗅覚検査装置の開発に関しては,課題となっていた“微小流量の混合と発生”について,改めて流路設計の見直しから入り,ベースとなっているT&Tオルファクトメータと同等の8濃度の実現を達成した.匂い残りや混ざりといった課題についても,重ね重ね見直しや改善を図っており,希薄な濃度であっても他の匂いによる影響を受けないシステムを構築出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,認知症の早期スクリーニングに有効な嗅覚検査装置を開発・実用化し,認知症の早期診断・早期治療を可能にし,高齢者のwell-beingの実現に寄与することであり,今年度は,認知症のリスク状態である糖尿病についての検討を重点的に行い,糖尿病患者では注意機能や実行機能等の認知機能低下が認められることおよびバランス機能低下が糖尿病と独立した認知機能低下のリスク因子であることを明らかにした. 認知症のリスク状態であるうつ病や前駆段階である軽度認知障害およびアルツハイマー病,レビー小体型認知症等の認知症患者の検討については,統計的解析を行うまでには症例数が十分でなく,来年度さらに検討を進める. 新規嗅覚検査装置の開発についても,微小流量の混合と発生という課題を克服し,来年度からのモニターテスト開始の目処が立った。以上から本研究は概ね順調に伸展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,認知症のリスク状態である糖尿病についての検討を重点的に行ったが,来年度以降は同様に認知症のリスク状態であるうつ病や前駆段階である軽度認知障害およびアルツハイマー病,レビー小体型認知症等の認知症患者の検討も進めていく. 糖尿病については,認知機能の低下が中年期から始まっていることを示した点,嗅覚能力やバランス能力が関与していることを示した点で意義があり,縦断的にも評価を行う予定である.糖尿病者群の症例数が少ないため,今後,症例数を増やしていく予定である. 嗅覚検査装置自体の開発はほぼ完了した為、実際の患者を対象としたモニターテストを進めていく.同様の流路システムで濃度制御機能を簡潔にした簡易型の嗅覚検査装置によるモニターテストを実施しており,十分な評価が得られた.機器自体の性能は良く,提示方法や回答方法といった検査方法を確立していくことを進めていく.またこのモニターテストでは匂いのアンケートも実施しており,様々な匂いを使用しながらのテストを計画している. 平成31年度初旬にはモニターテストを行う計画である.
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Causes of Carryover |
1型糖尿病を対象とした嗅覚と認知機能に関する研究について、嗅覚の同定に加えて嗅覚閾値についての研究も組み入れることになり、倫理審査申請に遅れが生じ、研究の開始が次年度にずれたため。今年度開始できなかった研究は、次年度に開始予定。
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[Journal Article] 123I-MIBG myocardial scintigraphy for the diagnosis of DLB: a multicentre 3-year follow-up study2018
Author(s)
Komatsu J, Samuraki M, Nakajima K, Arai H, Arai H, Arai T, Asada T, Fujishiro H, Hanyu H, Iizuka O, Iseki E, Kashihara K, Kosaka K, Maruno H, Mizukami K, Mizuno Y, Mori E, Nakamura H, Nakano S, Nakashima K, Nishio Y, Orimo S, Takahashi A, Taki J, Tokuda T, Urakami K, Utsumi K, Wada K, Washimi Y, Yamashina S, et. al.
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Journal Title
Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry
Volume: 89
Pages: 1167~1173
DOI
Peer Reviewed
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