2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of risk prediction model of at risk individuals for dementia by a holistic cohort study
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18K18450
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00268749)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
滋賀県長浜市民を対象とする「ながはまコホート」でフィールドワークを行い、全32日間の調査を実施した。本年度の調査参加者2,616人のうち、60歳以上で協力の得られた1,227人を対象に、認知機能に関する神経心理検査を実施した。本年度は感覚器指標との関連について基礎的検討を行った。触覚の検査として、指先で二点を識別できる最小間隔(二点識別覚)を市販のディスクリミネータを用いて評価したところ、正しく識別できる閾値が拡大するほどMinimental state examination(MMSE)得点やMontreal cognitive assessment scale(MoCA)得点と有意な負の関連を示した(P < 0.001)。二点識別覚とMMSE得点との関連は、地域コホート研究で認知機能と強く相関することが知られている加齢、性別(男性)、短い教育歴とは独立であった(P < 0.001)。同様に二点識別覚とMoCA得点との関連もこれら交絡因子とは独立であった。視覚と聴覚とを統合的に処理する視聴覚連合野の機能をダブルフラッシュテストで検討した。音刺激を複数回、間隔を変えて与えたときに、モニターに表示される明滅点の明滅回数を正確に識別するかを判定した。当該試験の誤答は、二点識別覚と同様に加齢や性別、短い教育歴とは独立してMMSE得点やMoCA得点と有意に関連した。ダブルフラッシュテストについては、検査の難易度を調整することで、より感度を高められる余地を残すものの、一連の成績によって感覚器の衰えが認知機能低下と関連することについて、基礎的な知見を固めることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従ってコホート調査を行い、相当数のデータを収集することができた。認知機能と感覚器との関連について基礎的な知見を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
感覚器と認知機能とについて基礎的な知見を得たことから、次年度は他のリスク因子やバイオマーカーについての検討を中心に進める。血液マーカーのうち、耐糖能異常が認知機能のリスク因子となることが知られているが、これまでの成績はグルコースとの関連をみたものが殆どであり、他の糖質との関連は未解明である。また、他の低分子化合物や脂質成分などについても十分に検討されていない。このような血液成分と認知機能との関連について検討を加えて、リスク因子としての意義解明を試みる。
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Causes of Carryover |
本年度の調査対象者が当初想定数より少なく、その分を翌年度の調査に先送りしたため。
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