2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of risk prediction model of at risk individuals for dementia by a holistic cohort study
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18K18450
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00268749)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
<実績> 滋賀県長浜市民を対象とする「ながはまコホート」でフィールドワークを行い、全15日間の調査に参加した1,313人のうち、60歳以上で調査に協力の得られた548人を対象に認知機能に関する神経心理検査を実施し、研究に必要なデータを積み増しした。 認知機能のリスク因子解析では、本年度は皮膚蛍光法で非侵襲的に測定可能な終末糖化産物(AGEs)について解析を進めた。AGEsとは糖化されたタンパク質の総称であり、生体内で生合成されることから、高血糖状態の長期的な暴露を反映すると考えられる。一方、生体内のAGEsは食事にも由来し、食餌中のAGEs量は加熱調理で増加する。AGEsの蓄積は、筋力や筋量、骨密度の低下に加え、認知記のうとも関連す可能性が報告されているが、いずれも小規模な検討でありエビンデンスは不十分である。ながはまコホートの60歳以上高齢者(4,041名)を対象に、皮膚蛍光法で測定したAGEsの蓄積と認知機能との関連を検討した。その結果、年齢や性別、BMI、教育歴、耐糖能異常といった既知のリスク因子の調整後も、AGEsの高値は、長谷川式認知機能スケールで評価した認知機能の低下と有意に関連した。感覚器能との関連解析では、視覚と聴覚とを統合的に処理する視聴覚連合野の機能を評価するダブルフラッシュテストの難易度を調整し、モニターに表示される明滅点の明滅回数と音刺激とをランダムに組み合わせた場合において、より強く認知機能と関連することが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従ってコホート調査を行い、相当数のデータを収集することができた。認知機能と生体マーカーとの関連について基礎的な知見を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
頭部MRの画像解析を行い、認知機能と関連することが期待される脳の特定部位別の体積を測定し、これまでに明らかにした認知機能のリスクマーカーとの関連について検討することで、リスクマーカーが真に認知機能低下と関連することについてエビデンスを固める。これらの知見をもとに、潜在的な認知機能低下リスクを持つケースを見出すためのリスクスコアの開発に取り組む。
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Causes of Carryover |
台風の影響でコホート調査日が減ったことなどから本年度の調査対象者が当初想定数より少なく、その分を翌年度の調査に先送りしたため。
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