2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of risk prediction model of at risk individuals for dementia by a holistic cohort study
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18K18450
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (00268749)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
滋賀県長浜市民を対象とする「ながはまコホート」でフィールドワークを行い、60歳以上を対象に認知機能に関する神経心理検査を実施しする計画であったが、COVID-19感染拡大の影響を受けてフィールドワークの実施を見送った。これまでに収集したデータの詳細解析や、認知症に関連する循環器疾患(特に脳卒中)の発症の追跡を行うことで解析用データの密度を高めた。認知機能のリスク因子解析では、本年度は脳の部位別の体積との関連を検討した。頭部 MRI(T1 強調画像)の Voxel-based morphometry 解析を行い、領域別の体積を算出した。年齢、性別、教育歴を調整した多変量解析において、灰白質体積は、長谷川式認知機能スケール(HDS-R)得点、MMSE 得点、MoCA-J 得点と有意な正相関を示した。同様の解析において、 海馬体積も HDS-R 得点(P=0.002)、MMSE 得点(P<0.001)、MoCA-J 得点(P<0.001)と有意な正相関を示した。灰白質体積と海馬体積を同時に投入したモデルでは、海馬体積のみが認知機能検査得点と有意に関連した(HDS-R 得点:P=0.044、MMSE 得点:P=0.008、MoCA-J 得点:P=0.010)。この関連は、頭蓋内体積を調整した解析においても同様であった。二点識別覚と灰白質体積とに有意な単相関は認められなかった(P=0.044)が、ダブルフラッシュテストの正答数は灰白質体積と正相関した(r=0.284、P<0.001)。これらの関連は年齢、性別、教育歴とは独立であったが(P=0.012)、共変量の調整によって関連性は弱まった。海馬体積との関連解析では、二点識別覚およびダブルフラッシュテスト正答数ともに有意な単相関を認めなかった。以上より、感覚機能と認知機能との関連は灰白質や海馬の体積とは独立であることが明らかになった。
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