2018 Fiscal Year Research-status Report
認知機能の老化を制御する新規脂肪組織-脳連関の研究
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18K18454
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武井 義則 京都大学, 薬学研究科, 特定講師 (30502455)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者のquality of life (QOL)は、健康寿命と生命寿命とのギャップ期間中に著しく低下し、介護・医療費 の大半がその期間に消費されている。超高齢化社会問題の解決には、健康寿命を延伸して、このギャップを短縮する事が不可欠である。加齢に伴う認知能力の低下(老化)は、栄養や衛生状態の劣化、各種合併症の増悪などの諸問題を引き起こして健康寿命を短縮する。本研究は、認知能力の老化を抑制、改善する方法を見出す事で、認知能力が老化するメカニズムへの理解を深めるとともに、健康寿命の延伸に寄与する認知能力老化治療の開発基盤を提供することが目的である。 今年度は、我々のグループが見出した認知能力の老化が遅延する新しいモデルマウスの細胞を、高週齢正常マウス(レシピエントマウス)に移植して、レシピエントマウスの認知能力の変化を検討した。その結果、新しい脳老化制御メカニズムの存在を示すだけでなく、細胞移植による認知能力の抗老化治療の可能性を示す結果を得た。それと並行して、老化遅延マウスの各臓器の老化を解析して、老化遅延効果に臓器間での違いが見られる事を示す結果を得た。 さらに、老化遅延マウスで老化抑制に関与する血中分子の同定を目指した解析を開始した。若週齢、高週齢の正常マウス、老化遅延マウスそれぞれから血清を得て、ELISA法を用いて目的タンパク質の血中濃度を測定した。その結果、いくつかの新たな老化制御因子の候補分子を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定した目的、計画を果たしている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き老化遅延マウスで老化抑制に関与する血中分子の同定を目指す。老化制御分子が同定されたなら、血管に影響して脳との物質交換を改善し、間接的に脳の老化を抑制するのか、老化制御分子が血液脳関門を通過して直接脳の老化を抑制するのかを検討し、老化制御分子の作用機序を示す。
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Causes of Carryover |
期待した高週齢マウスが入手できず、実験規模の縮小、若齢マウスを購入し飼育しての検討などで、当初の計画を実行した。その結果、次年度使用額が発生した。最近、高週齢マウスの供給が安定してきたので、規模を縮小した実験の再開などで使用する予定である。
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