2023 Fiscal Year Annual Research Report
On Biopolitics, IT and Civil Society: How systems for electronic health/patient records have been, and will be, developing and utilized in Japan
Project/Area Number |
18K18473
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 香織 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (40758314)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | 医療情報 / 生政治(バイオポリティクス) / ANT(アクターネットワーク理論 / 市民社会 / ビッグデータ / 個人情報保護 / 次世代医療基盤法 / 利活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は医療・身体情報の電子化と、それに伴い発展しつつある医療・身体情報の二次利用・利活用(例えば、ビッグデータ分析)に関して、以下の3つの観点から探究することである―①その政策的な発展、②それに対する市民社会の「信頼」、③それを通じた生政治を含めた生権力を展開する意図や可能性。更にこの様な探究に対して、適宜アクターネットワーク理論を応用して、ヒトとモノの相互作用と連関を考察する枠組を構築していくことである。最終年度においては、フェムテック(特に月経周期アプリを通じた女性の身体情報の利活用)を促進する政策を論じることで、①政策的な発展に潜む②生権力の展開の可能性や、③アクターネットワーク理論の応用により、身体情報が利活用されながら生権力を行使する過程について、ヒトとモノがハイブリッド化した主体として捉える可能性について探究した(アンソロジーで出版)。また次世代医療基盤法の改正に伴い、②市民社会の信頼をえながら①政策的な発展する方向性について、政策提言ともいえる探究を行っていった(査読付き論文として投稿中)。 研究期間を通じては、電子化された診療記録や身体・医療データを企業や医療研究者が利活用していく様相や、その様な利活用を進めるための社会・制度の基盤整備のあり方を調査した。そのような利活用に、生政治を含めて生権力の行使(の可能性)がどの様に内在し、実際にどの様に展開していこうとしたのかを論じた。そのうえで身体・健康情報を計測する機器とそれが算出するデータとそのデータを利活用して生政治が展開される過程を把握するために、アクターネットワーク理論が有用であり、その発展の可能性も議論した。また医療・身体情報の利活用にかかる市民社会との信頼について、英国との比較検証から考察した。これらの成果は、学会や研究会での発表や論文や書籍のアンソロジーの一つとして結実している。
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