2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of viewers attention in the field of Film studies and Cognitive psychology
Project/Area Number |
18K18482
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
板倉 史明 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20415623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 絵理子 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (00403212)
橋本 英治 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50218418)
山本 忠宏 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (60441375)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 映画 / アイトラッキング / 認知心理学 / 視線 / 注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はプロジェクトの2年目かつ最終年度であり、映画学におけるアイトラッキングを活用した研究とその研究史的な背景について研究を進めることができた。具体的には、Tobii社のアイトラッカーを活用し、動画視聴時のアイトラッキングと映画作品におけるさまざまな演出や編集との関係を調査した。それらの成果は、「ヒューゴー・ミュンスターバーグの遺産と認知主義的映画研究」という論文(2020年刊行予定の書籍に分担執筆したもの)となった。論文では、ミュンスタ―バーグが1916年に刊行した映画理論書『映画劇――心理学的研究』において、映画における注意表現を「能動的注意」と「受動的注意」に分けて考察したが、これは現代の心理学における「トップダウン型注意」と「ボトムアップ型注意」に対応するものである。1980年代になると、認知主義的映画論を展開するディヴィッド・ボードウェルは『フィクション映画における話法(ナレーション)』(一九八五年)において、映画観客は、映画を見る直線的なプロセスのなかで、映画が観客に提供するきっかけ(キュー)を積極的に読み取り、組み立てながら物語を理解してゆくという映画理解を基盤にして映画のスタイルの研究を行ったが、ボードウェルの映画理解は、映画が提供するすべての「きっかけ」に能動的注意を向けて認知し、物語の意味を順番に組み立ててゆくことができるような「理想的な観客」を前提とした理論(仮説)である。2000年代以降に推進された映画視聴時の視線測定研究は、観客の注意と映画の演出の関係を、実験に基づいた生理学的・認知心理学的なデータによって検証するようになり、ボードウェルの議論をより精緻に検証することができるようになった。
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Research Products
(1 results)