2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K18486
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
大平 栄子 都留文科大学, 文学部, 特任教授 (20160616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 弘夫 東北大学, 文学研究科, 教授 (30125570)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 英語テクスト / 近代仏教 / 岡倉天心 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)第17回Hawaii International Conference on Arts and Humanitiesにおいて、岡倉天心の未公開オペラ台本についての研究発表(The White Fox as a Work of World Literature)を行った。The White Foxと「信太妻伝説」「阿倍清明伝説」との関わりについて考察し、岡倉のオペラ台本が、日本の伝統的芸能(説教節、浄瑠璃、歌舞伎、読み本、黄表紙、仮名草子、浮世絵、地歌、狐会、地歌、清元、落語、盆踊り)・現代小説・アニメにみられるストーリーに比べいかに独自性が際立っているかを、近代仏教研究の争点になっている「涅槃」の表象の視点から明らかにした。 (2)ラオスにおいて、ラオス国立大学、国立中央図書館、仏教博物館などにおいて英語著作の文献調査を行った。訪問した仏教寺院に所蔵されている資料はほぼ仏教経典に限られているが、そこで修業している少年僧侶たちの教本が英語であることは近年の変化の一つである。 (3)ヨーロッパにおける日本学の拠点大学であるハイデルベルク大学日本学研究所において、日本近代仏教研究に関する資料調査を行なうと共に、プロジェクト”Japanese Buddhism and their Contribution to Academic Knowledge on Buddhism in 19th Century Europe(「ヨーロッパにおける大乗仏教―19世紀ヨーロッパの仏教をめぐる学術知識への日本人僧侶の貢献」)の主要メンバーであるClara Boehnne氏(プロジェクトリーダーはハンス・マーテイン・クレーマー教授)から、プロジェクトの進行状況をうかがい、意見交換をすることができた。さらに、ユデイット・アロカイ教授はじめ日本学研究所の研究者らと交流した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、近代日本における仏教者による大量の英文著作の刊行の意義と意味を問うことを目的とし、具体的には以下の4点の目標を掲げた。 ① 明治維新から戦前までの期間に刊行された仏教者による英語のテクストを網羅的に収集し、その全体像を明らかにする。② 時代背景を視野に収めつつその分析を進めることによって、英語テクスト大量刊行の歴史的な意義を解明する。③ その成果を既存の近代仏教研究とすり合わせることによって、近代仏教に切り込む独自の視点を確立し、通説的な近代仏教像の書き換えを目指す。④ 近代においては日本だけでなく、インドを始めとするアジアの諸地域でも仏教者による英語テクストが出版されている。それらを歴史的なコンテクストの中で比較考察することによって、英語テクストという視点からアジアの近代の共通性と多様性に光をあてるとともに、アジア仏教への日本仏教の位置付けを試みる。 これまでの調査によって、①として掲げた仏教者の英文著作の収集については、ほぼ目標を達成し、現在はこれまで見落とされていた著作の発見に努めている。また④については、ラオス・タイなどで調査を行い、アジアにおける近代英語文献の全体像についてもほぼその輪郭を把握するに至っている。③④についても、海外出張(アメリカ・ドイツなど)や国際学会での発表を通じて、国内外の研究者との密接な連携と議論を続けており、次年度中には最終的な成果の概要を提示できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
31年度は、30年度に網羅的に収集してきた、明治維新から戦前までの期間に刊行された仏教者による英語テクストについて、時代背景を視野に収めつつ分析をさらに進め、英語テクスト大量刊行の歴史的な意義を解明する。その成果を既存の近代仏教研究とすり合わせることによって、近代仏教に切り込む独自の視点を確立し、通説的な近代仏教像の書き換えを目指す。明治、大正、昭和初期(大戦前)において出版された日本人の著者による150冊以上の英文著作が存在することを確認したが、未発見・未確認の資料の探索を続行する。 岡倉天心のThe White Foxについて、明治・大正・昭和初期の近代仏教改革との関わりの中で考察してきた前年度の成果を踏まえ、今年度はThe White Foxと「信太妻伝説」「阿倍清明伝説」との関わりについて考察する。 「日本英語文学」の多くが仏教研究者、仏教者によるものであるが、The White Foxは西洋からの仏教に対する誤解、否定的眼差しにたいする強力なCounter-narrativeになる優れたテクストであることを、広い視座からの多角的な考察を通じて確認する。 32年度は、近代においてインドを始めとするアジアの諸地域でも出版がみられる仏教者による英語テクストについて、歴史的なコンテクストの中で比較考察することによって、英語テクストという視点からアジアの近代の共通性と多様性に光をあてるとともに、アジア仏教への日本仏教の位置付けを試みる。
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Causes of Carryover |
支出予定額との差はは2パーセント程度であり、誤差の範囲内で順調に執行できたものと判断している。
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Research Products
(7 results)