• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

クイア仏教学の構築

Research Project

Project/Area Number 18K18494
Research InstitutionChikushi Jogakuen University

Principal Investigator

宇治 和貴  筑紫女学園大学, 人間科学部, 准教授 (80613413)

Project Period (FY) 2018-06-29 – 2021-03-31
Keywordsクィア仏教学 / クィア / 仏教学 / LGBT / 真宗学 / セクシュアリティ・スタディーズ / 仏教思想 / 親鸞
Outline of Annual Research Achievements

研究の目的であった、LGBTに関する講演会やシンポジウム等に参加し、最新の研究・調査結果や実践例に関する情報を入手すると同時に、「クイアスタディーズ」研究を進める研究者とネットワークを構築し交流や研究会を開催した。
浄土真宗本願寺派の北米教団は1970年代より、同性婚を承認し儀礼を行っている。この同性婚儀礼執行に至るまでには、様々な議論が重ねられたという。昨年に引き続き、渡米しサンフランシスコ仏教会のLGBTコミュニティへの取り組みについて調査した。また、LAにも初めて足を延ばし、LAの仏教会がLGBTコミュニティとどのようにかかわっているかを調査した。特に今回の渡米では、UCバークレーのジュディス・バトラー教授へインタビューができたことは大きな収穫であった。この成果は日本宗教学会学術大会において「仏教思想とクィア理論の関連性について」、武蔵野大学の仏教文化研究所の研究会において「クィア仏教学が課題とするもの」として発表した。今後、さらに検討を重ねて論文として発表する予定である。
さらに、オーストラリアシドニーの仏教会も訪問し、シドニーでのLGBT状況と同時に、仏教教団のコミュニティへのかかわり方などについて調査した。シドニーでは世界最大級のLGBTパレードであるマルディグラスに参加し、コミュニテイィそのものとのつながりを形成した。アメリカだけではなく、オーストラリアまで研究の範囲を広げられたことは、大きな成果だった。
京都で初めてとなる「クィア仏教学研究会」を開催した。日本宗教学会の発表時につながることができた、同志社大学でクィア神学を研究されている朝香知己氏に研究発表者として参加してもらった。京都や東京などから、仏教学研究者が集まって「クィア」をテーマに研究会を開催したことは、日本の仏教研究において極めて重要なできごとだと認識している。今後も定期的に開催予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

先の概要でも述べたが、多くのクィア研究者とネットワークを構築し交流会や研究会が開催できた。また、昨年に引き続き、渡米しサンフランシスコ仏教会・LA仏教会のLGBTコミュニティへの取り組みについて調査することができた。
特に今回の渡米では、UCバークレーのジュディス・バトラー博士へインタビューができたことは大きな収穫であった。周知のとおり、ジュディス・バトラー博士は現代思想を代表する世界的な思想家であり、クィア理論を語るうえで欠かすことのできない重要な人物である。こうした人物にコンタクトが取れ、インタビューができたということは日本の思想研究においても大きな意義があると考えている。この成果を日本宗教学会学術大会において「仏教思想とクィア理論の関連性について」として発表したが、日本の宗教学会にいて「クィア」と「仏教学」を関連させて発表したのは初めてのことだと確信している。本テーマで学会発表を行えたことは、研究の大きな進捗だと言える。さらに、オーストラリアシドニーの仏教会も訪問し、シドニー仏教教団のLGBTコミュニティへのかかわりなどについて調査した。アメリカだけではなく、オーストラリアまで研究の範囲を広げられたことは、大きな成果だった。
京都で初めてとなる「クィア仏教学研究会」を開催した。日本各地から仏教研究者が集まって「クィア」をテーマに研究会を開催したことは、日本の仏教研究において極めて重要な進歩だと認識している。クィア研究者とのネットワークが構築できたおかげで、仏教学研究者との橋渡しができつつある。こうした異分野の研究者が相互に研究する環境を作りはじめられたことは、大きな研究状況の進歩だといえる。
ただし、2021年に予定してたドイツの学会での研究発表はコロナの影響により断念せざるを得ない状況となりつつある。こうした現状を踏まえると、今後の進捗がたいへん危ぶまれる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究としては、20201年に延期になったドイツでの国際真宗学会で発表をするための準備に取り組む。そのために、2020年度中に再度サンフランシスコを訪問し、可能であればジュディス・バトラー博士のインタビューを行い、仏教思想とクィア思想の関係性についての考察を深めたい。
研究者のネットワーキング作業としては、現在共著で『LGBTと社会』(釜野さおり・岩本健良編 ミネルヴァ出版)をから刊行予定である。本来であれば、2020年3月に発売予定であったが、昨今の流通差し止めの状況を鑑みて出版が延期されている。この書物は、各分野でLGBTの問題に取り組んでいる研究者が、各分野での問題点や現状などについて分担執筆している。今後、この執筆陣をきっかけとして、様々な分野の研究者とネットワークを作り、研究会を開催したいと考えている。
個人の基礎的な研究としては『仏教・真宗における実践論の基礎的研究』を出版すべく取り組んでいる。これまで執筆してきた、仏教からの実践論の論文をまとめて発表する予定である。この出版によって、LGBTの問題に仏教が実践的に取り組む基礎理論が形成されるものと考えている。
以上の研究を基にして、2019年度に立ち上げた「クィア仏教学研究会」を今年度も継続して開催していきたいと計画している。

Causes of Carryover

ほぼ順調に、予定通りの研究活動を行い予算を消化した。次年度に研究備品としてデスクトップパソコンを購入予定であるため、残として繰り越した。
2020年度は①サンフランシスコ訪問、東京をはじめとする全国各地のLGBT関連のイベントに参加しさらに情報を収集することに費用、②京都で定期的に「クィア仏教学研究会」を開催するにあたっての、会場費や講師謝礼、本人の交通費などに関する費用、③クィア関係、仏教・真宗関係・思想関係の書物を購入する費用を要する。④学会発表の矢参加のための費用を要する。
研究環境整備のために、デスクトップパソコンの購入に費用を要する。

  • Research Products

    (7 results)

All 2020 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 親鸞思想からの「マイノリティ」差別批判2019

    • Author(s)
      宇治和貴
    • Journal Title

      筑紫女学園大学教育実践研究

      Volume: 5 Pages: 25-34

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 筑紫女学園大学におけるマイノリティの包摂と支援のあり方について(その1)2019

    • Author(s)
      安恒万紀・赤枝香奈子・渋田登美子・宇治和貴
    • Journal Title

      筑紫女学園大学人間文化研究所年報

      Volume: 30 Pages: 189-209

  • [Presentation] 仏教はセクシュアル・マイノリティ差別とどう向き合うかークィア仏教学の必要性についてー2020

    • Author(s)
      宇治和貴
    • Organizer
      日本仏教学会
  • [Presentation] 真宗実践論とその具体的展開について2019

    • Author(s)
      宇治和貴
    • Organizer
      真宗学研究学会
  • [Presentation] クィア研究と仏教思想の関連性ついて2019

    • Author(s)
      宇治和貴
    • Organizer
      日本宗教学会学術大会
  • [Presentation] クィア仏教学が課題とするもの2019

    • Author(s)
      宇治和貴
    • Organizer
      武蔵野大学仏教文化研究所例会
  • [Book] 国際社会と日本仏教2020

    • Author(s)
      楠淳證・中西直樹・嵩満也
    • Total Pages
      260
    • Publisher
      丸善出版

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi