2022 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Queer Buddhist Studies
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18K18494
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
宇治 和貴 筑紫女学園大学, 人間科学部, 准教授 (80613413)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | クィア仏教学 / 同性婚 / クィアスタディーズ / 真宗 / 実践 / 同性婚儀礼 / 仏前結婚式 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本佛教学会年報第八十六号に論文「仏教はセクシュアルマイノリティ差別とどう向き合うかークィア仏教学の必要性についてー」を単著で執筆した。また、第81回日本宗教学会学術大会で「仏教における同性婚をめぐる諸問題」をテーマに口頭発表し、『宗教研究』第96巻別冊に用紙を発表した。 2022年度は、特に仏教における同性婚儀礼をテーマにクィア仏教学研究会を開催し、1970年代初頭にアメリカ・サンフランシスコで同性同士の結婚儀礼を行った僧侶、小杭好臣氏へのインタビューなどを行った。小杭氏は浄土真宗本願寺派の開教使としてサンフランシスコに赴任中、同性カップルの求めに応じて仏式で婚姻儀礼を挙行している。小杭氏の行った仏前における婚姻儀礼が、同性同士での婚姻儀礼としては初めてのケースだと考えられる。こうした聞き取り調査は、仏教がクィアコミュニティとどのような関係を気付いてきたのかを今後考えるとき、重要なエピソードとなると考えられるので継続的に行う必要がある。 日本の仏教教団に同性婚儀礼を挙行した当事者において、差別的な発言を受けたとの報告もあった。クィアスタディで理論面と実践面の二つを両輪として研究が進められるべきある。よって、現在の日本の仏教教団に残る、マイノリティ差別の構造や実態を調査し、その解決に向けた研究もクィア仏教学における重要な課題だと指摘した。 性に関する差別や抑圧などの問題は、人が生きている段階において発生するものである。そうであるが故に、仏教が生に係るとすれば、避けては通れない問題として性の問題にも直面する。したがって、仏教においても性の問題をタブー視せずに正面から取り扱うクィア仏教学研究が、これからの仏教を考える場合必要不可欠だとの結論に至った。
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