2018 Fiscal Year Research-status Report
Proposal for support disabled people in disaster and a sustainable practical approach learning from the Kumamoto earthquake
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18K18495
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
古賀 元也 崇城大学, 工学部, 助教 (30635628)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 熊本地震 / 福祉避難所 / 要援護者 / 車いす使用者 / ヒアリング調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年4月,熊本で二度の震度7を超える地震が発生し,断水,食料不足,建物倒壊の恐れが生じたが,福祉避難所を利用できた災害弱者,要援護者は十分ではなく,多くが設備やサポートのない場所で過酷な生活を余儀なくされた。今後,また起こりうる震災に対し,要援護者が確実に安全な場所に避難できること,そして復旧までの間,ストレスなく安心して生活を送ることができる体制を整えることは喫緊の課題である。この課題に対し,我々は災害時における身障者支援の在り方の提案に向け,平成30年度は,要援護者である車いす使用者が熊本地震時にどのように避難生活を送っていたか,その様子について,ヒアリング調査,アンケート調査を通じて明らかにした。①車いす使用者は,本震での避難の際,車いすでは移動ができず家族や近所の支援を受け避難するケースも見られた。②避難先での生活では,車いすで移動する際の幅,車いすを置く場所といった「車いすに必要なスペースの確保」,身障者が安心して使用できるトイレやお風呂といった「身障者対応の設備」であることが明らかなった。③要望として,福祉避難所を増やすこと,トイレ,お風呂などの設備の充実,車いすを置く十分なスペースの確保が挙げられた。また災害時に求める情報では,車いす使用者が安心して利用できる一般避難所や福祉避難所,電動式車いすが充電できる場所の情報が挙げられた。 一方,熊本市では災害時における福祉避難所,緊急入所施設の受け入れ可能人数は1,700人としていたが,実際に福祉避難所を利用できた災害弱者,要援護者は少なかった。そこで我々は今後の災害に対して,多くの要援護者が福祉避難所に避難できるような新たな防災マニュアルの提案を目指し,平成30年度は,その基礎調査として熊本地震時に開設した福祉避難所を対象に現地調査を実施し,当時の施設の状況,受け入れた要援護者の様子,支援体制を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に加え,ヒアリング調査を実施した車いす使用者に対し,自宅の被害調査を行い,建物の被害状況の実測調査を実施し,図面を作成した。震災時の避難の際に生じた問題点を建物の被害状況から分析することができた。また,福祉避難所に対してもヒアリング調査に加え,震災時の被害状況を実測調査した。
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Strategy for Future Research Activity |
災害時における身障者支援システムの設計と有用性の検証:平成30年度に実施した車いす使用者に対するヒアリング調査,アンケート調査で明らかにした震災時の避難の際に生じた問題点・課題と福祉避難所に対するヒアリング調査で明らかにした要援護受け入れのプロセスにおける問題点・課題を整理し,具体的な支援システムの設計に取り組む。想定するシステムは,それぞれの福祉避難所の受け入れ体制,備蓄等の準備状況など日ごろの備えをデータベース化するといった「震災に備えた防災システム」,そしてシステムの登録者に震災直後に最適な避難場所を知らせるといった「避難システム」などが挙げられる。そしてワークショップを開催し,設計したシステムについて有用性の検証を行う。
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