2019 Fiscal Year Research-status Report
語認識における語彙情報と演算処理の東アジア言語間比較検討
Project/Area Number |
18K18497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 たかね 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10168354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 友紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50322095)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 連声現象 / 声調 / ピッチアクセント / 日本語 / 北京語 / 台湾語 / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では東アジア諸言語(日本語東京方言、中国語普通話、台湾語)の声調、ピッチアクセントに関する規則的な連声現象(tone/accent sandhi)の様々な事例から得られる、多様な音韻規則間の相違を最大限利用した事象関連電位測定実験およびその分析・考察を、期間全体をとおして行う。
令和元年度はこのうち、台湾語の声調変化の特性(当該語のtoneにのみ依存・前後の言語的環境に依存しない)に着目して一昨年度に行った事象関連電位測定実験データについて、国立台湾大学の共同研究者の助力を得て分析方法を再検討し、データの考察を進めることができた。toneの違反のタイプの相違(純粋な規則違反か、語彙情報の検索にかかわる違反か)によって異なる成分が観察できるといえるか、結果を精査している。また、北京語の声調変化の特性(当該語のtone 及び後続語のtone に依存)に着目した眼球運動測定実験の一昨年度以前に収集済みのデータについて、より詳細な検討を行い成果発表の準備を行った。その際、同じ研究グループによる日本語のアクセントとその変化の特性(当該語のアクセントのみならず後続語との構造的関係に依存)を利用した事象関連電位測定実験研究(基盤研究(B)で実施)の結果を参考にした。
これらの結果や中間報告は、国立台湾大学で実施する予定の研究会(The Fifth NTU-UT Linguistics Festa)にて発表する予定であったが、コロナウイルス感染拡大の影響で縮小した形で遠隔開催としたため、本研究についての報告は中止となった。さらに洗練された内容で翌年度以降成果報告を行うべく、議論と考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収集済みデータの分析・考察や、新たな実験の設計・実行・分析においては予定通り順調にすすめることができた。ただし、成果報告や追実験の実施部分についてはコロナウイルス感染拡大の影響で停滞を余儀なくされた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、コロナウイルス感染拡大による遅延分をとりもどすべく、事態が収束し次第、必要に応じて台湾語に関わる事象関連電位計測実験の追実験を行い、また、北京語の声調変化についての事象関連電位計測実験も、実験計画の詳細の検討を開始する。また、これまで他の研究費(基盤研究(B))で実施していた日本語アクセントの違反にかかわる事象関連電位計測実験についても、次年度からは本研究の中に組み入れ、必要に応じて追実験を実施する。さらに、共同研究先の国立台湾大学との間で予定されていた研究報告会を再企画する。これまで三言語を通して行ってきた実験の比較・分析を速やかに進めたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大の影響で、予定されていた海外での研究会(NTU-UTLinguistic Festa)を縮小して遠隔開催としたため、旅費等の支出がなくなったことに加え、脳波実験・実験実施および分析が中止となったため、次年度使用額が生じた。 次年度には、コロナウィルス感染拡大による遅延分を取り返すべく、事象関連電位計測実験を実施し、その解析を進めるとともに、共同研究の打ち合わせを兼ねた国立台湾大学との共同ワークショップも再企画する予定であり、そのために使用する計画である。
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