2018 Fiscal Year Research-status Report
冠詞と複数形語尾の使い方がわかる英和辞典の開発:名詞的名詞と動詞的名詞を基に
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18K18510
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
日木 満 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (10238280)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 動詞的名詞 / 名詞的名詞 / 名詞形 / 英和辞典 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は「名詞的名詞(nN)」と「動詞的名詞(vN)」という名詞区分を前面に押し出した新たな英和辞典を開発することである。動詞的名詞は統語的に名詞が現れるところ(主語、補語、動詞の目的語、前置詞の目的語)にはどこでも現れるが、中でも前置詞の目的語の位置で多用されているので、初年度(H30年度)はまず前置詞の目的語としての動詞的名詞(vN)の用例収集を中心に行い、前置詞ごとの意味的な分類を試みた。その結果、28の前置詞を【進行中系】としてin, out of, on, off, at, under, during、【未来系】としてto, into, for, like, against, from、【過去系】として、for, from, out of, through, 【同時系】としてin, with, without, by、【可能性系】としてwithin, beyond, past, above, below, 【時間差系】としてbehind, ahead of, according to, after, before、【時・条件系】としてon, atがあるという初期区分を行った。そこでは、それぞれの系に属する前置詞間の差異化についても考察を行い、仮説としてまとめた。ただし、現時点では主に辞書やコーパスからの用例収集であるため、それらの表現がどの程度一般的な表現なのかや、名詞的名詞を使ったときのとの意味の差、など、ネイティブインフォーマントへの聞き取り調査をしていく必要がある。 前置詞ofについても動詞的名詞を目的語にとる用法があり、相当数用例は集めて考察をしている段階であるが、ofの用法はほかの前置詞と比べて実に多種・多様・複雑なため、まだ、納得のいく形での整理が行えていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にできれば前置詞と動詞的名詞の組み合わせについての考察を終えたかったが、前置詞の中でももっとも重要なof については、相当数収集はしたものの、用法が実に多岐にわたり、まだ十分な考察が行えておらず、納得のいく形での分類もできていないため、前置詞の考察も未完了の状態となっている。また、定期的に依頼できるネイティブインフォーマントの確保ができかなったため、用例の作成や確認、名詞形による意味の違いの検証などの作業も断片的なもので終わってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまずofと動詞的名詞の組み合わせについての考察を行ってから、他の位置(動詞の目的語、主語、補語)の用例収集と考察を進めたい。その上で、重要度、頻度など考慮して、辞書に取り入れる100語程度の名詞の絞り込みを行い、辞書の記述を始めたい。その過程で、ネイティブスピーカーの研究協力者の助けを借りて、収集した用例の検証を行うとともに、新たな用例文の作成を依頼し、最終的に辞書に掲載できる質の高い名詞的名詞と動詞的名詞の例文を集めたい。 また、それと平行して、「名詞的名詞」と「動詞的名詞」の理論づけと文章化を進めたい。とりわけ、Grimshaw (1990)の「Simple Event Nominal 単純事象名詞」「Complex Event Nominal 複雑事象名詞」の区別や、影山(1999, 2011)の「モノ名詞」と「(単純・複雑)デキゴト名詞」、「行為名詞(action nominal)」などがあり、それらとの相違点を明らかにした上で、「名詞的名詞」と「動詞的名詞」の区分の必要性と妥当性を示せるようにしたい。
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Causes of Carryover |
ネイティブインフォーマントの確保ができなかったため。
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