2019 Fiscal Year Research-status Report
Why every human language have a grammar?: A study on neural oscillation in predictive language processing using MEG
Project/Area Number |
18K18515
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50274030)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 敦 関西福祉科学大学, 関西福祉科学大学, 講師 (20588462)
幕内 充 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究室長 (70334232)
大関 洋平 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (10821994)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | 言語学 / 認知科学 / 脳・神経 / 実験計心理学 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従って、研究分担者幕内の所属する国立障害者リハビリテーションセンター研究所において、研究分担者大関とともに脳磁計(エレクタ社製)を使用し、日本語数量表現を材料とした言語理解における予測処理の脳磁気信号計測実験を実施した。13名の実験参加者からデータを取得し、現在分析中である。2020年夏をめどに分析を終了し、研究成果を2020年10月に開催される国際学会Society for Neurobiology of Languageにおいて発表する予定である。また、住友重機械工業が開発した脳磁計を使用し、同社西条工場及び東京電機大学において国立国語研究所において開発された「日本語話し言葉コーパス」を材料として、音声言語理解時の脳磁気信号計測パイロット実験も実施した。この研究はまだパイロット実験実施の段階にとどまるが、今後同社の脳磁計を本格的に研究に使用することを検討中であり、データの解析を進めている。 2019年度には上記研究に加えて、脳磁図研究の前段階として、言語処理によって惹起される神経細胞の電気生理学的活動に関する知見を得るため、脳波を手がかりとした言語処理研究を実施し、音韻処理時の脳波計測研究の成果を国際学術誌(Brain Research)に掲載した。また、統語処理と意味処理に関わる埋め込み文の選択制限処理の脳波計測研究の成果を国際学会Sinn und Bedeutung 2019において発表した。これら2件の研究は国際共同研究であった。また、語彙処理、意味処理、語用処理に関連するエビデンシャリティとモダリティ処理の脳波計測実験の結果を、国際学会Experimental Pragmatics 2019及びSinn und Bedeutung 2019において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度中に脳磁計による脳機能計測実験を予定通り実施できたため、「おおむね順調である」と判断する。ただしコロナウィルスの流行によって脳磁計を保有する国立障害者リハビリテーションセンターにおける人を対象とした脳機能計測実験が中断しているため、当面はさらに計測を実施してデータを追加するのは難しい。このため、データの分析結果次第では、研究の進展に影響が生じる懸念があるが、その場合は解析方法の検討によって打開する方針である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに取得したデータを分析し、2020年秋に国際学会において発表することを目指している。日本語数量表現を材料とした言語理解における予測処理の脳機能計測実験のデータは、事象関連磁場を抽出する分析を行う計画である。「日本語話言葉コーパス」を材料とした音声言語理解時の脳機能計測実験は、自然発話に近い音声聴取時のデータから分析を通して有意な脳活動を抽出する予定であり、機械学習を用いた解析を行うことを計画している。現時点でどちらのデータも解析に必要とされる前処理を実施している段階であるため、速やかに前処理を終了して、次の段階の処理を実施することが当面の目標である。特に予測処理研究については今年度中にデータの解析と国際学会における発表を終え、論文執筆を開始し、学術誌への投稿に進むことを目指したい。また解析結果からさらにデータの取得が必要であると判断される場合は、国立障害者リハビリテーションセンターにおいて追加実験を実施する。しかし、コロナウィルスの流行によって脳磁計を保有する国立障害者リハビリテーションセンターにおける人を対象とした脳機能計測実験が中断しているため、年度中に追加実験が可能かどうかは現時点では予想がつかない。その場合には、解析のエキスパートである研究分担者松本と協議し、解析方法をさらに高度化することで対応したい。
|
Causes of Carryover |
脳磁計を使用した実験実施が2019年度末までずれ込んだため、本格的なデータ解析を実施するのが2020年度になった。このため、解析に使用するワークステーション等の購入が2020年度にずれ込んだ。また、追加のデータ取得が必要になる場合を見越して、実験参加者への謝金、実験補助者雇用経費も2020年度に残した。2020年度にはワークステーションの購入及び解析実施を担当する研究補助者の雇用などで、これらの助成金を合わせて使用する計画である。
|
Research Products
(8 results)