2020 Fiscal Year Annual Research Report
The neural basis of synesthetic expression processing with onomatopoeic words
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18K18520
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
遠藤 智美 (水落智美) 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 流動研究員 (90568859)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | オノマトペ / 形容詞 / 知覚 / 日本語 / 共感覚的比喩 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験刺激の作成を早急に実施する予定であったが、オノマトペの対照群である、オノマトペと同じ意味を持つ形容詞・形容動詞のうちデータベース上にない語があったため、親密度などを品詞間で揃えることが困難となった。そのため、全ての語を対象にオンラインによる心理評価実験を実施し、59名からの回答を得た。 オノマトペおよび対照群について、視覚、聴覚、触覚の各感覚への関連度の評価値を用いてクラスター解析を行い、3つの感覚それぞれに関連する語に分類した。語の馴染み度、イメージしやすさ、各感覚への関連度には、品詞間の差は認められなかった。それぞれの語が感覚に関連する名詞(色、音、感触)を修飾した句の理解度、馴染み度、適切度、詩的度の評価値は、同じ感覚に関連する名詞を修飾した場合、理解度、適切度、馴染み度の評価値が高くなった。不一致の場合の評定値は、形容詞・形容動詞では先行研究と同様に触覚⇒視覚・聴覚、視覚⇔聴覚という組み合わせの句では理解度、適切度、馴染み度の評価値が7段階中の4を超えたが、オノマトペでは3を超えるに留まるという差が見られた。この理由として、語の持つ情報量の違いが考えられる。例えば、ゴロゴロというオノマトペは動きの様態、動きが継続するという時間的構造、動いている物の特性(大きくて重い)という情報が集約されており、同じ意味を1語で表す形容詞・形容動詞はない。本実験では、イメージのしやすさに品詞間の差はなかったが、オノマトペの方が情報量の多い、より具体的な印象を与えていることが推測される。このため、異なる感覚と関連する名詞を修飾した句が与える違和感が形容詞・形容動詞よりも大きくなり、理解度などの評価値が下がったと考えられる。
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